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「映司さん、私、映司さんとのお付き合いを、両親に話そうかと思っています」
映司は大きく頷いた。
それは自分も同じ事を考えていたから。
「ご両親に話す時には、その時は俺も一緒に行くよ。
俺の方から、ちゃんと挨拶したいし」
咲子は泣きそうな顔をして首を横に振る。
「まずは、私の方から話した方がいいかと思うんです。
私の両親は、一筋縄ではいかない。
自分達の血筋が、命より大切な人達なので…」
血筋か……
血筋に関して言えば、俺の血筋は何の魅力もない。
「咲子ちゃんはあまり話したがらないけどさ、それって、元皇族の血筋って事でしょ?
だから、皇太子のお妃候補に選ばれた。
そのために、小さい時から、鳥かごの中で大切に育てられた」
咲子の瞳から大粒の涙がこぼれ出した。
映司にはその涙の理由が分からない。
だって、そんな境遇に生まれた咲子の気持ちは、絶対に本人にしか分からないから。
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