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第二章 ソー視点 魔物事情 兄妹事情
魔物の被害に悩んでいるのはハンターのみではない、今は、世界各国の人間が頭を抱えている事態。
魔物の影響で仕事を辞めてしまう人もいれば、住む場所を追われた人もいる。
最近、そんな暗い記事ばかりが新聞に載っていた。俺達兄妹が住むメイル国は、それほど大きな国ではないけれど、被害は少なからず出ていた。
メイル国より大きな国の場合、土地を守る範囲も人員も多く必要になる。
大きな土地を完璧に防衛する事なんて、不可能に近い。必ず何処かで大きな被害を被り、対処に追われていると更なる問題がのしかかる。
メイル国にも、住処を追われた難民が数人、住み込みで働いている。噂によると、魔物によって滅ぼされてしまった国もあるとかないとか・・・。
大国の場合、俺達の居るギルドよりも、規模が大きいし、ハンターの数も多い筈。
その多勢に無勢のハンター達ですら、最近の魔物事情に四苦八苦しているそう。
魔物によって命を落としているハンターの数も日に日に増し、本来城を警備する兵士達ですら、ハンターの真似事をさせられているとか。
でもハンターとは、それほど甘い職ではない。兵士は防衛専門だけど、攻めないと魔物を撃退できない、退治できない。
でも、何の作戦も練らずに突撃してもいいわけでもない。各国が兵士に魔物退治を依頼する作戦は、呆気なく失敗に終わっていた。
しかし、平和な店屋や牧場主にハンターとしての訓練を積むように指示をしても、うまくいかないのは確実。
結局、今ある戦力で、どうにか乗り越えるしかない。俺達兄妹も、そんな数少ない戦力の一部。
昔は自由に依頼を選べたんだけど、最近は強制的な依頼が増えている。
それが嫌というわけではないけど、強制的な仕事は、大抵人命が関わるほど、色々な意味で重い仕事。
勿論俺達にも、ある程度の責任が問われる。そんな重苦しい空気の中で、伸び伸びと魔物退治なんてできるわけがない。
でも今は、文句なんて言っていられない。俺達ハンターの行動一つで、救われる命だってある。
ついこの前に比べると、色んな人から感謝の言葉を貰う事が多くなって、時々物やお金で応援してくれる人も。
妹は、この前魔物退治の依頼で助けた女性から、香水を貰ったそう。
でも妹は香水なんて使わないから、そのまま捨てようとしたところを俺が止めた。
何故なら、香水の蓋を開け、そのまま地面に流そうとしたから、そんな事をすれば、数日間その地面からは強烈な匂いがする。もうご近所迷惑どころの話ではない。
香水は、親戚が貰ってくれる事になって安心した。どちらかというと妹は香水や宝石よりも、俺と同じく食べ物を渡すと喜ぶ。
そもそも妹は香水の近い道を知らないに等しい。香水を見て、「飲み物?」なんて言うくらいだから。
女として少々危険な気はするけど、俺は別にそんな女性が嫌いなわけではない。
むしろ、貴族みたいに宝石やドレスに、湯水の如くお金を使う女性の方が、面倒くさくて呆れてしまう。
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