第二章 ソー視点 魔物事情 兄妹事情

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俺達兄妹は貴族に関しての知識は全く皆無だけど、今よりも贅沢なくらいがしたいとは、あまり思えない。 伸び伸びと街を練り歩きながら、面白そうな話に首を突っ込んだり、国中の異変を解決して回る、そんな今で、十分満足している。 生活費はしっかり稼げているし、国の住民達からは厚く信頼されている。正直、ハンターを始める前と後で、人との付き合いが大きく変わった気がした。 前は他人同士の間だったとしても、ハンターとして勤め、成績を徐々に上げると、他人でも挨拶をしてくれる。 時には他愛のない話で盛り上がったり、住民達の悩みを聞いたり、時々差し入れも貰う。 その時は改めて、今この国や世界中で、ハンターがどれだけ重要視されているのかを、自分の身で深く感じた。 妹もハンターを始めてから数日後には、男女問わず友達が増えたそう。元々しっかり者の妹に集まる人は多かったけど、今はその倍以上の友人がいるらしい。 だったら彼氏の一人や二人ぐらい、簡単に作れる筈。でも、さすが血の繋がっている俺の妹なだけある、「面倒くさくなるからいらない」と一蹴。 見た目は結構美人な筈なのに、周りからも心配されるほど、妹と俺は恋愛感情を持たない。 俺自身も、生涯十七年の間に、女性から告白された事が一度だけあるけど、何故か『嬉しい』という感情よりも、『どうしよう』という不安の感情が上回る。 丁重に断ったからその後は問題にならなかったけど、周りからは「何で断ったの?!」と責められた。 何故かその時は、妹にすら責められる。「女の子の勇気を踏みにじるなんて最低!」なんて言われた。 でも俺は別に、その子の意思を傷つけたつもりもないし、何より相手の女性も、しっかりと納得の上で断った。 ルドだって、告白してきた男性を突っぱねた過去を持っているのに、何故か俺の事となるとじゃじゃ馬状態になる。 恋愛話を聞くだけでもあくびをする妹なのに、俺が告白された話を聞いた直後、ルドは飛びついた。 「・・・でさ、その後どうなの?」 「どうって?」 「告白とか、されない?」 「人の恋愛事情を面白がるなよ、勿論されてないよ  今は、皆そんな事考える余裕はないんだよ」 「そういえば・・・ほら、近所に住んでいたタオンさんね、結婚が中止になっ  たんだって」 「は?何で?  交際は順調だったじゃん」 「噂で聞いたんだけどね、タオンさんと相手が式を挙げる筈の教会が、魔物達  の襲撃に遭って、教会自体が滅茶苦茶になっちゃったんだって  別の教会で結婚式をあげたくても、魔物のせいで亡くなった人達の葬式で、  今はどの教会も大忙しみたい」 「あぁー・・・マジか・・・」
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