第一章

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 ふらふらとした足で公園を出た。 そのまま、足が進む方へと歩みを進めた。 一つの大きな通りに出ると、そこにはたくさんの人が携帯を片手に歩いていた。 黒いスーツ姿。 耳にこだまするように聞こえるハイヒールの音。 携帯に顔をのぞかせる女子高生。 目や耳がこの景色にのめり込まれていく。 足が自然と人ごみの中へ進んだ。 理由もなければ目的もない。 一緒にいる人もいない…… 僕を知る人はここに誰もいない。 そして……僕の頭に浮かぶ顔は一人もいない。
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