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「麻季、俺彼女できたわ」
「ふーん。おめでとー」
「何だよ、その心のこもってないおめでとうは」
「亮太が彼女をとっかえひっかえしすぎて、いい加減祝う気にならない」
私はため息をつきながら注文したアメリカンコーヒーにミルクを注ぐ。
「とっかえひっかえって人聞きの悪いこと言うなよ。ただ長く付き合える子に出会えなかっただけだろ」
亮太は気を悪くしたようだ。
目の前に置かれたアイスコーヒーを勢いよく吸い上げる。
「はいはい。それで、今度の彼女はどんな子なの?」
結局彼女についての話題を振ってあげた私に、亮太は満面の笑みで答える。
「それがさ、去年のミスキャンパスなんだよ。めちゃめちゃ可愛いぞ。女子アナみたいにふわふわな見た目でさ」
またか。私は内心でため息をつく。
亮太の好みはパフェみたいな子だ。
見た目も中身も甘ったるくて、外見をキラキラに飾り立てる女の子。
私とはまるで正反対のタイプ。
今日の私は白いシンプルなTシャツにスキニーデニムという出で立ちだ。
髪の毛は動きやすいショートボブ。
そりゃ、今日はこれからバスケをしに行くのだからスカートなんて履くわけにはいかないのだけど、それにしたって亮太の選ぶのはいつも私とは対極にいるような女の子ばかりなのだ。
「へー、すごいじゃん。街を一緒に歩くのが楽しみだね」
私は嬉しそうな亮太に同調しながら、今度の彼女はいつまで続くかなと冷静に考えていた。
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