流れ星と貝殻

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流れ星と貝殻

「なかなか見つからないね」 夜の海、この日は満月。砂浜に屈んで何かを探す2つの影。 「ちゃんと探せよ」 「探してるよ」 二人の首にかかるネックレスには、小さな2枚貝の片割れがひとつずつ揺れている。 幼い頃にこの砂浜で見つけた色違いの貝殻だ。そのもう片方を2人は探していた。 その貝殻を見つけると、願いが叶うと信じていたから。 「コウちゃん、ちょっと寒いね……」 季節は春、4月2人は高校2年生になった。 「ちょっと休んだら? 俺が探してるからさ」 「じゃあちょっとだけ休憩」 長い髪を指ですきながら、美緒は流木へと腰をかけ夜空を見上げた。綺麗な満月が明るく照らしている。 彼女は世界でも症例の少ない、恋愛アレルギーという病気の持ち主だ。 恋をすると発疹ができ、顔以外の部位に広がる。その後、免疫力と体力が低下し、死に至るという病気を背負っていた。
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