土曜日の対策会議と危ない二人。主に“美佳” が。① 【R18】

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土曜日の対策会議と危ない二人。主に“美佳” が。① 【R18】

  「じゃあ着替えてから “優”の部屋に集合な」  そう言った優に頷きかけて、美佳はハッと我に返った。いやいやいや違うでしょと、踵を返して家に戻ろうとした “美佳” の肩を掴んで引き留めた。 「ダメッ!!」 「は? 何が?」 「だって……」 「だって何だよ」  言い淀む美佳に苛立ちを露わにしている優をチラリと見て、泣きそうな表情になった。何で優にこんな事を言わなければならないのか、酷く屈辱的で涙が滲む。 「……ノーブラ」 「知ってる」  顔色も変えずに言われて、美佳の思考が一旦フリーズした。再起動して立ち上がるまで多分一分弱。 「…………え?」  泳ぐ瞳の焦点を合わせ、引き攣った笑みで “美佳” を見た。 「何で?」 「目が覚めてこんな物が付いてたら、何事かと思って握るだろ普通」 「にぎ……っ!?」  目は大きく見開かれ、口は顎が外れる寸前まで開かれた。 (いま平~然として、握ったと仰いましたか…!?)  愕然と自分の姿をしている優を見た。  優がモテメンで、女をとっかえひっかえなのは、嫌になるくらい耳に入って来るけど、女の体なんて優にしたら今更な感じだろうけど、凌辱された感が満載な今の心境を何と表現したらいいだろう。 「おい。俺の顔でそのマヌケ面やめろ」  優が掌で顎を押し上げ、パクンと音を立てて閉めた。優は鼻であしらって「後でな」と門扉を開けて中に入って行く。  美佳はハッとして閉まりかけた玄関のドアを開け、「ちょっと待った」と手首を掴んだ。驚いて振り返った優を引っ張って、一気に二階の自室に駆け込んだ。階下で母親が「静かに上がりなさい」って怒鳴っていた。  美佳が悲愴な顔で優を見ると、眉を寄せた優が首を傾げながら見上げてきた。 「ッたく。何なんだよ?」 「やめて~ぇ。優に見られたり触られたりなんて、嫌すぎるぅ」  美佳はその場に突っ伏して泣き出す。女々しく泣き伏す “優” がどうにもイラッとして、優は無情にも己の本体を蹴飛ばすと、美佳は「痛っ」と飛び起きお尻の脇を擦りながら鬼を見上げた。  優の凶悪な顔。本来のほほんとした美佳の顔が、獲物を追い詰めたような笑みを浮かべて見下ろしている。思わず涙が引っ込んだ。 (ぎゃ――――ッ! 人相が変わってるぅ。“美佳” が完全に優じゃんか~)  中身が変われば、表情はここまで変わるものなのか。  先刻まで “美佳” の皮を被った優なんか怖くないって、高を括っていた自分が恨めしい。  今まで美佳が使った事のないような表情筋を駆使している優に、無意識で後退った。 「俺に触られるのは、嫌すぎると?」  笑っているのに怖いって、正しく優だ。美佳に向ける笑みは決まってこうだ。蛇に睨まれた蛙のように、反論出来なくなる。  どれだけ “美佳” に馴染んでいるんだ。  優は徐にパジャマのボタンを外し始めた。唖然と見てる美佳の前に脱いだパジャマが落ちる。 (え……ちょ…ちょっと!?)  上半身裸になった “美佳” が、口角を歪めて笑っている。微動だに出来ないでいる美佳を嘲笑い、両手で豊満な乳房を揉みしだいた。  目の前で起こっている事に頭が真っ白になって、優の無情な行為を瞳に映している。  くすくす笑いを漏らしながら、床に膝を立てた “美佳” の右手が、滑る様に下腹に伸びて行くのをただじっと見つめている。  秘所に辿り着いた指がパジャマの中でもぞもぞと蠢き、「っ…んッ」と甘ったるい吐息が “美佳” から漏れた。呆然とする美佳に意地悪な眼差しを向け、左手の指がつんと勃った頂をきゅっと捩じると、熱を持った吐息が漏れる。  目の前で行われている “美佳” の自慰行為。  とろんと潤んだ瞳が美佳を見て、薄く笑う。  一体何のために優はこんな事をするんだろう。  頭の中で心臓の音がうるさい。体の中心で何かがぴくりと蠢く。もぞもぞと動き出した何かに、首をカクカクさせて目線を落とす。 「ぶっ」  音の発信元に目をやると、“美佳” の優がニヤニヤしていた。 「何お前。自分のオナニーに興奮してんの? マゾか?」  その手を止めない優が、しっとりとした声で言う。  顔から火が出そうだった。耳まで熱くて、美佳は優から目を逸らした。優は楽しそうに喉を鳴らし、ずいっと身を乗り出して “優” のスウェットの中を覗き込んだ。  目を見開いて優を見返してきた美佳に、一層意地の悪い笑みを浮かべると、彼は扱いなれたモノに手を伸ばした。  もうすぐ指先が触れる、その直前で“優”の手が“美佳”の手を止めた。 「あ…あたしの手で、そんなモノ掴まないでぇ」  “美佳” の眉がぴくりと動き、「そんなモノ?」と不機嫌な声が耳元で囁いた。 「あ……いや、その……気持ち悪い」 「気持ち悪いだと?」  目を眇め、冷ややかな声がじんわりと耳に流れ込んだ。 (あ……逆鱗に…触れちゃっ…た……?)  でも本当に気持ち悪い。  優は “優” の手をぐいっと引っ張り、昂ってるものに持って行くと強制的に握らせた。 「ぎゃっ! 止めて止めてっ」  空いた手で “美佳” の顔を押しやるが、意地になった優が両手を添えて動かし始める。“優” の手の中で脈打って大きくなっていくモノに、美佳は意識が遠退きそうだった。 「てめえ。しっかり握りやがれ。気色悪いなんて言って、それで済むか!」 「ごめんなさ~い。勘弁して下さ~い」 「黙れ! 握れないでトイレはどうする!? 溜めんなよ! “(オレ)”を病気にする気か!?」 「む~り~ぃ」 「無理じゃない。学校でトイレに行きたくなったらどうする気だ!? 俺は手を貸せないぞ!」  そりゃそうでしょうとも。“美佳” が男子トイレに付き添いしようものなら、完全に変態扱いだ。 (もし戻れた時、困るのあたしだよぉ)  それでも気持ち悪いものは気持ち悪い。現に今も、別の生き物のように手の中で蠢いているのだ。  “美佳” の手は止まらない。  次第に息が乱れて、吐息が熱く零れる。  屈辱的なのに抗えない高揚感。ゾクゾクと背筋を這い上がる言いようのない感覚。美佳の知り得なかった高まりに頭が痺れ、朦朧としながら訊いた。 「ゆ…う……ッ…な……にコレ……!」  腰にこれまで感じた事のない感覚。大きく体が震え、美佳はぎゅっと目を瞑った。くいっくいっと上下しながら放出される白濁した液体。ぶるるっと体を震わせると、「あ~あ」と優が声を漏らした。  美佳が熱く潤んだ目元を隠しながらため息をついている目の前で、「我ながらよく飛ぶわ」と優が楽しそうに笑い、枕元からボックスティッシュを取って、胸元に飛んで来たドロッとした液体を丁寧に拭き取り始めた。 「お前さあ、これまで自分でやったことあるか?」 「……」 「って、なさそうだな。ガッチガチの処女だし」 「な…ッ」  なんで知ってるのと、聞こうとして止めた。また墓穴を掘りそうだ。  優が「拭けよ」とボックスティッシュを差し出してくる。受け取ったものの、ふにゃふにゃになったモノが直視に堪えず、美佳は唸りながら天井を見た。
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