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そんなこと言われたって。⑮ 【R18】
ようやく充たしてくれる快楽を得られると思ったのも束の間、寸止めを食らって遣る瀬無い熱と疼きに美佳が打ち震えてると、実に憎たらしい笑みを浮かべ「後でな」と先に浴室を出てしまった。
今にも悶え叫びそうなのを必死に堪える美佳が浴室から出ると、バスタオルを広げて待ち構えていた優の腕の中にすっぽり収まり、優しく水気を取っていく。
美佳はたっぷり水を吸って用を為さなくなったテーピングテープを剥がしながら、口を尖らせて優を睨む。彼はチラチラと美佳の顔を確認しては、可笑しそうに笑いを漏らしているのが、何とも腹立たしい。
一か月セックス禁止と言った事を余程根に持っているらしい。
本気の優を拒み切れないくせに、そのくらい何とでもなると思ってた。
(怪我してる時くらい、優だって遠慮してくれると思いたいじゃん)
考えが甘過ぎた。
あくまで身体を洗っているだけを主張する優に手玉に取られ、『解禁する』と言わされてしまった。
が、こうまで焦らしプレイを続けるなら、美佳にだって考えがある。
リビングに戻り、佳純にテーピングをして貰い、ソファーでテレビを観ている優を確認すると、さり気なさを装ってリビングを出た。そしてそのまま自室に戻るべく階段を上る。
まだ身体の中心に熾火が残っているけど、そのまま消えるのを待てばいい。少々…大分辛いけど、これ以上焦らされるのは御免だ。
(焦らし返してやるッ)
バレたら後が怖いけど、せめて今日だけはこの位したって罰は当たらないだろう。
部屋のドアを開け手探りで照明のスイッチを入れる。
ドンッ
音にビクリと肩を揺らした。
部屋の明かりが灯されたのと同時に、背後から襲い来る威圧感。そして扉は勝手に開かれて行き、宙に伸ばされている握り拳に目が留まる。恐らく音の根源。
「一人でコソコソ何してる?」
ミッション失敗を告げる声。
恐る恐る振り返った美佳は、無理やり笑顔を作って優を見上げた。
「何って…カ、カーディガンをね」
じりっと後退ると、優がずいっと迫り来る。
「目が泳いでるけど?」
無表情の優が指摘してくる。
頭の中で警告音が鳴っている。
咄嗟に身を翻し、扉の裏に回って閉めようと試みたが、無駄な抵抗だった。ただでさえ力で敵う訳ないのに、今は腕一本だ。優に押し止められ、扉は彼の背後で静かに閉められた。
もう逃げ場はない。早々に降参してしまった方が、被害は少なくて済む。
美佳は背水の陣で優に抱き着いた。
「本当にカーディガン取りに来ただけだよ?」
「じゃ何で挙動った?」
「ビックリしただけよ。優ってばヤだなあ。勘繰り過ぎぃ」
彼の胸に額を擦り付けて甘えて見たものの、「そうか?」と言った彼の声は冷ややかで、背中に回された腕に力が籠るのを感じた。
背筋が凍り付き、怖くて顔を上げられない。
美佳の緊張を感じ取り、優の右眉がピクリと上がった。さてどうしたものかと、洗いたてのシャンプーの香りがする彼女の頭にキスを落とし、左肩を圧迫しない様に美佳を抱き上げた。そのままベッドに横たえると上に覆い被さって来る。
眺め下ろす優に、美佳は小さく震えた。
美佳が映り込んだ双眸はほの昏く、優の長い指がパジャマのボタンを外していく。
「散々焦らされたから、俺に仕返ししようとしたんじゃなくて?」
図星を突かれて黙り込むと「分かり易過ぎだから」とキャミソールをたくし上げ、豊かな両の乳房に優の指が食い込んだ。
「や…痛い」
「逃げなきゃ優しくしてやったのに」
「怪我したばっかのあたしにエッチ強要してくる辺りで優しくないよ」
「定期的に美佳補充しないと、壊すよ? 俺」
何を壊すんだか、怖くて聞けない。恐らく頭を過った事で正解だと思うけど。
目の前が急に暗くなり、唇が塞がれた。いきなりの喰らいつく様な口付けから、咄嗟に逃げようとして顔を挟み込まれ、捻じ込んできた舌先に呆気なく舌を絡め取られた。
口内を蹂躙される間も優の指が滞ることなく美佳の肌を滑り、気が付けば下半身は何も身に着けていない。熱い掌が尻を弄り、腰骨を辿って美佳の下腹を撫で回す。
花弁に隠れた花芯の上に少し力を加えた親指を突き立てられ、熾火はいとも簡単に息を吹き返し、美佳の腰がびくっと引いて逃げた。
唇は息も儘ならない程に喰らい付かれ、花弁を押し開くでもなく、親指にぐりぐりと攻め立てられる。
淫猥な水音に脳が侵され、真面な判断が下せないだろう所まで追い詰められていた。
子宮がムズムズする。
「……ッん…ん……ッ」
鼻にかかった甘い声が漏れ、膝を擦り合わせる。愛液がとろりと伝い落ち、優の二の腕を掴んだ美佳の指先に力が籠った。
それを合図に優は唇を解放し、足の間を割って滑り込んだ。冷ややかな空気を肺に一杯取り込んでいる美佳の足を持ち上げ、淫靡な艶めきを放って開かれた蜜口に、愛撫もなく硬く反り勃った肉杭を最奥まで突き刺した。間髪入れずに優はギリギリまで腰を引き、また最奥まで突き刺すと、苦し気な美佳の声が漏れた。
「アッ…ぅ、くっ……ふぇ…ん」
慣らされていない膣内はいきなりの質量に着いて行けず、異物を排除しようと波打っている。その度にキツく優を締め付け、堪える彼からも小さい呻きが漏らされた。
「美佳、食い…千切る気、かッ?」
優に巻き付き締め上げて来る淫襞。腰砕けになりそうなほどの抗いがたい快感に息を乱されるも、そう易々と吐精するつもりはなさそうだ。
ゆっくりグランディングし、肉杭で膣内を押し広げられる。杭の先端が美佳の最も弱い箇所を抉り、擦られた淫壁が狂喜した。
腰が勝手にカクカクと震えだし、シーツに絡ませた美佳の指先が白くなる。
優は不意に動きを止めた。
見下ろす優を見つめ返す美佳は、今にも泣きだしそうな表情になる。
何度もイキそびれた身体が自分のものじゃない様に痙攣し、押し寄せる快楽の渦に美佳の全てが支配されている。達することが出来ないのはもう地獄でしかない。
指先が乞うように優へと伸ばされる。彼はその手を取って口に含むと、美佳の唇が僅かに開いて甘い吐息が漏れた。
「ぁ…ん……ゆぅ…も……だ、めぇ……イキ、た…いのぉ」
蕩けた眼差しが優を捉え、やっと彼の表情に笑みが戻った。ただしまだ意地の悪さが窺い知れるものだったが。
「もお俺から逃げない?」
美佳がこくりと小さく頷けば、杭の切先で美佳の弱点を二突きする。美佳の腰がガクガクッと震え、苦し気に涙を零す彼女に「ちゃんと口で言って」と更に二突きした。
美佳は身体を戦慄かせ、優の手の中にある手で強く握り返しながら、強すぎる快楽に嗚咽を漏らす。
ここで答えなければ、この快楽地獄はまだまだ続くだろう。
頭がおかしくなりそうなくらい感じる部分で、優のモノがピクピクと蠢いている。その微かな刺激のお陰で冷めやらない疼き。
(もお、狂い死にしそう……)
何とかして欲しい。
美佳の望むものをくれるのは目の前の優しかいない。
「も、もお…逃げま、せ……だか、らぁ……イかせ…ぇ」
「俺、美佳いなくなったら本当ヤバいからな? また死ぬまで閉じ込めて一人だけのモノにする。誰にも渡さない。忘れるなよ?」
優の姿にふと惣一郎がダブる。
嘗ての優、惣一郎は絹を死ぬまで軟禁したのだ。優がやると言ったら本当に遣るだろう。それは確信。
「何度、生ま…れ、変わって、もぉ……一緒…ね?」
美佳の下腹では膨れ上がった熱が放たれようと暴れている筈なのに、彼女は優を見てふにゃりと笑った。無駄な力が抜ける笑顔に安堵し、美佳の膣内で一際大きく成長する半身を感じ取り、優は限界を察した。
優は美佳の耳元に唇を寄せ「愛してる」と囁き、立て続けに彼女をイかせ、ようやく彼も己の欲を彼女の膣内に吐き出すと、安心したように二人は眠りに落ちて行った。
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