その少女

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「それでは、娘さん……理央さんが犯したとされている事件についてお聞きしたいのですが」 「は、はい」 事件は、6月18日の20時。 理央は──高校の屋上から警察へ自分は人を殺したので自首をする、という旨の電話をかけた。駆け付けた警察官に捕まった理央は、取り調べで動機としてこう語っているらしい。 「私、森下先生が好きだったんです。 でも、森下先生は、恵のことが好きだった。 3日前かなぁ。私、森下先生が恵に告白するところを見てしまったんですよ。恵はあっさりとフッてましたけどね。 ポロポロと大粒の涙を流している森下先生を見ていると、私、こう思っちゃったんです。 ……どうして私じゃ駄目なんだろう。って。 その日から、かな。私が彼に向けていた好意が、憎悪に変わっていった。私が、恵に向けていた友情が、嫉妬から激しい怒りへと変化してしまったんです。どんどん、どんどん。私はソレに飲み込まれて、殺意へと形を変えていきました。 18日の夜、私は2人を──高校の屋上に呼び出しました。まずは、森下先生を殺すことにしました。 流石に大柄な男性相手だと抵抗されてしまうとこちらに勝ち目はないということで不意打ちで思い切り屋上から突き落とし、恵は──のスーパーで購入したナイフで首筋を切って殺しました」 これを淡々と語ったというのだから、恐ろしい話だ。
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