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 着いた先はマンションだった。  ハザードをつけて路肩にて止まったスイフトスポーツからおり、建物を見上げる。結構、高層。外壁は眩しいまでに白い。 「おいおい。こんなブルジョアなところにアジトがあんのかよ」 「主犯の男は警視総監の息子なんだよ。上がスキャンダルを恐れているから、本庁も所轄も動くに動けない。手を出そうにも手を出せない。厳重に報道管制も敷かれてる。マスコミは某宝石店で強盗殺人が起きたことを知ってるってだけ」 「まさにくだらねー事件だな。そんな大事件を、後藤さんはどこで嗅ぎつけたんだ?」 「企業秘密だって言ってたよ」 「つくづくこえーな、あのジイサマは。ホント、敵にだきゃ回したくねー。ってか、まるっと統制する格好で情報を操作できるって聞かされると、世も末だと思わざるを得ないわな」 「同感だけど、それが今、私達が住んでる国の実状なんだよ」  エレベーターに乗った。三十五階まである。目的地は十七階にあるらしい。  途中、伊織がブラウスのボタンを一つ開けた。  ただでさえ露わだった深い胸の谷間がさらに覗く。  段取りの見当はついた。
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