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問題の部屋へ。
伊織がインターホンを鳴らした。
伊織は肘を抱え、デカ乳を寄せて上げて強調する。まもなくして「はい」と返答があった。エロい体をした女がエロい身なりでテレビドアホンのモニターに映っているわけだ。アホな男なら必ず反応する。まあ、そうでなくたって、奴らはがさいれに遭う可能性は限りなくゼロに近いと考えているに違いないのだ。なんてったって、主犯の野郎は醜悪なまでに保身に走る警視総監の息子殿なのだから。
「保険会社の者です。プランのご提案に参りました。話をお聞きいただけませんか?」
やはりこんなに卑猥な保険の勧誘員がいるわけがないのだが、相手からは「わかりました」という返事アリ。ガチでアホな野郎だ。一回、いや、二、三回、死んだほうがいい。
俺は壁に背をつけた。ドアが開き、男が姿を現した瞬間、問答無用で胸倉を鷲掴みにして強引に外へと引っ張り出した。すぐさま後ろから右手で口に蓋をしつつ、左腕を首に巻きつける。
クローザーが機能し、ドアが閉じたところで、「なんだよ。マジでガキじゃねーか」と俺は言った。伊織が「残りの二人は? 中にいるの?」と問い掛ける。俺は「このおねえさん、極度の短気でな。怒らせるとこえーぞぉ?」と追い打ちまでかけてやった。すると、二十歳未満とおぼしき男はこくこくと小さく小刻みに頷いた。これで用済みだ。左腕に力を込め、絞め落としてやった。
ふと、なんとも香ばしい匂いが嗅覚を刺激した。ドアが開いていたのはごく短い時間だったけれど、中から漏れ出てきたらしい。
「なんの匂いだ? グリルパーティでもやってんのか?」
「これ、ジンギスカンだね」
「わかんのか?」
「私の実家、北海道だから」
「へぇ。そいつは初耳だ」
「無駄話はオシマイ。さっさと済ませるよ」
「オーライ」
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