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ここはとある魔法学園。本日は入学式が行われた
今年はあんまり頭が良くないことで有名な第2王子殿下、聡明なことで知られるその王子の婚約者の公爵令嬢、王子の側近候補達が揃って入学するとあって新入生も在校生も、教師ですらその話題で持ちきりなのである
さらに、もう1人。
平民でありながら希少な光属性の魔力と膨大な魔力量を持つがために男爵家に引き取られ入学が決定したマリア・ウェーバーも何かと注目されている
しかし、入学式が終わり解散となったあとの学園の中庭、マリアと第2王子の婚約者であるイザベラ・ヴァン・バルバジールの会話の内容を理解できた者は居ないだろう
「あら、貴女がマリアさん?可愛らしい方ね
わたくしはイザベラ・ヴァン・バルバジールですわ」
「…は、はい!
マリア・ウェーバーにございます。宜しくお願いいたします」
「マリアさんは…日本ってご存知かしら?」
「はい!でもご安心下さい!
わたくしの前世の所属は緑十字に白文字にございますれば、権力による冤罪は蛇蝎のごとく忌み嫌う宿敵にございます。一度死しても魂は変わりません」
イザベラは辛うじて知識があった。しかしヒロインが定番のクソビッチではなく国◯救援会の青年役員だった前世持ちとは驚きである
そして一ヶ月。
悲しいかな、頭の悪い第2王子はマリアにぞっこんであった
「いい加減にして下さい!!!
遊びの相手にしたってもう少し考えてお選びください!!!
どうせ私が元が平民だから簡単に身体を許すとかお考えなんでしょうが!!!
それから、恐れ多くもイザベラ様には友人だと言って頂いております!殿下はわたくし共の友情を壊したいのですか!!!」
食堂にマリア男爵令嬢の声が響き渡る。ちなみにイザベラは王族教育という名の馬鹿婚約者の尻拭いの公務で学園を公欠している
最初の3日は大人しく、無難に、イザベラの背中に退避する事で凌いでいたマリアだったが、最近は学園の中では生徒は平等という建前…建前でしかないそれを全面に押し出し第2王子にキレるのが日課となっている
日々、第2王子に苛々させられている生徒や学園の職員達からマリアはヒーロー扱いになっていた
ヒロインにありがちな性格ドブスの雌ブタ公衆便所転生者なら、お股グショグショで悦ぶであろうイケメンからの猛アタックも、権力と戦うことを思想・生き様としてきた彼女には札束で誰でも股を開くと思い込んでいる特権階級ならではの女性蔑視にしか映らない
「まだそんなことを言ってるのか!!俺は本気だ!!俺のものになれ!!」
「はあ?!奴隷の所持は国法で禁止されていますが!!!
私は意思を持った一個人であり誰かの所有物ではありませんが!!!!」
食堂は拍手に包まれ、顔を真っ赤にした第2王子は走って出て行ってしまった
マリアからすれば、責任者に抗議する…この場合馬鹿に育てた側妃と側妃に甘々な陛下だが、兎に角責任を問うのは当然の流れ。本来ボッチ設定のマリアだが、イザベラを筆頭にここ一月で沢山できた友人の令嬢達も手を貸してくれる。
第2王子の廃嫡はもうすぐそこなのであった
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