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Prologue
記憶の中にある貴方は
いつも、俺じゃない誰かを見ていた。
それでも、1番になれる日が
くるんじゃないかって
どこかでそんな淡い期待を
していたんだと思う。
隣で眠る貴方の少し幼くなる横顔とか。
前に座る貴方の伏し目がちな目とか。
面白いTVに少しだけ上がる口角とか。
記憶の中にある貴方を
探しては消して、消してはまた探して…。
“ホシイモノ”はいつだって手に入らない。
だからせめて、
幸せだった頃の記憶のカケラを
たくさん集めて、手繰り寄せる。
両の手では持てないほどの
そんな幸せな記憶のカケラを抱きしめて…。
いつでも貴方を記憶のそばに…。
そして俺は今日も
1人で生きていく。
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