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「お昼休みのあれ、どういうこと?」
「と、いいますと?」
「とぼけないで。本堂に、ご飯食べさせてもらってた。あーんって!」
『あーん』をやたら強調して言われた。
俺は昼休みの記憶を呼び起こす。
あー……確かに、食べさせてもらったな、枝豆を。
何を隠そう、俺は枝豆が大好きなのだ。
陽樹は弁当持参派で、あまり好きではないらしい枝豆をいつも俺にくれる。
今日はたまたま食べさせてもらっただけ。
よくあるだろ、男子高校生のノリみたいな。
「別にいいだろ」
「よくない!」
「なんでだよ」
「なんででも!……あー、思い出したらムカついてきた。今から乗り込んでくる」
え……は?
「え、何?」
「本堂殴りに行ってくる」
「はあぁぁ!?ちょ、ま、」
俺が止める間もなく、部屋を飛び出して本堂の部屋の方へ走り出した悠音。
そいえば、陽樹と西川同室だったよな。
陽樹と殴り合いするのは別にいいが、西川まで巻き込まないで欲しい。
「ちょ、待てって!」
俺も慌てて後を追う。
俺たちのそれぞれの部屋には、鍵はない。自室にはプライバシー的な感じで鍵がついているが。
つまり、乗り込もうとしたら簡単に乗り込める。
先にいた悠音が、ある部屋の一室の前で足を止め、ノックもなしに入るのが見えた。
ノックはしろよ!マナーだろ!!!
俺は一瞬入るのを躊躇ったが、覚悟を決め、一応ノックする。
そして、『お邪魔します!』と言いながらリビングへ向かった。
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