無愛想な猫

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【悠音の心の中】 藍矢が裸エプロンか。 可愛すぎる。いや、可愛いという言葉で表せない。こういうときどう言えばいいんだ? ぽけーっと、自分の世界の中にいる裸エプロン姿の藍矢を眺めていると。 「……わぁっ!!」 藍矢の叫び声で我に帰る。 一体どうしたのかと藍矢をみると、ゲームで西川に負けたみたいだった。 藍矢はゲームは好きなんだが、ちょっと、いやかなり下手だ。 普段からやり込んでいるという西川に勝つ可能性は極めて低い。 「あーくそ、西川、もっかい!」 「藍矢くそよええwww」 テレビの中の格闘ゲームのキャラがまた動き出す。 誰がどのキャラを操作しているのか分かるくらい、圧倒的な力の差。 一人のキャラが、もう一人のキャラをフルボッコにしている。 お分かりの通り、フルボッコにされているのが藍矢だ。 まるで反撃出来ていない様子を見ると、藍矢はまたすぐに負けるだろう。 「んん、……あっ!そこ、だめ……っ!」 ……?? 「んぅ……んっ、あ、あぁ……」 ……????? ゲーム、してるだけだよな? ………………………………………………。 えっrrrrrrrrrrrrrrr((((。 藍矢は、俺の理性を鍛えているのだろうか。 いつの間にそんなえろい子になっちゃったんだ。 今すぐ押し倒したい衝動に駆られている俺。 「……おい。ここでサカるなよ」 いつの間にか現実世界に帰ってきていた本堂に冷たく言われる。 「うっせーな、分かってるよ!」 「んん……あぁー!また負けた!」 「藍矢、前から思ってたんだけどめっちゃ弱いw」 「うるさーい!」 勝負がついたみたいだ。 「ねぇー西川、もっかい!もっかいだけしよ!」 「えー?w」 「藍矢、もう戻ろうぜ。いつまでもここにいたら西川が困るだろ」 そして俺の理性も切れそうで困る。 「えー、俺は別にいいけど……」 「和食、勝手に押しかけてきたのはお前だろ。お前に一番迷惑してるんだけど」 「うるさい本堂」 藍矢は少し寂しそうな表情を見せたが、やがてコントローラーを置いた。 「そうだな。西川、陽樹も、勝手に押しかけて長居してごめんな」 「俺は全然楽しかったから、いいよ」 「悪いのは和食だしね」 ムカッとしたがほんとのことなので言い返せない。 「じゃ、また来てな。勝手に入り込んでも大丈夫だから、またゲームしような」 ソファーから立ち上がった西川に、本堂は後ろから抱きついて、首に自分の頭を押し付けた。 ほんと、猫みたいなやつ。 西川はそんな本堂を気にも留めていないようで、まるで自分の体の付属品のような感じでひっつけたまんま、廊下まで見送ってくれた。
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