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俺が寮に帰って一風呂浴びて半裸で牛乳飲んでたら悠音が帰ってきた。
おっそ。
悠音は、腰に手を当ててごくーと牛乳を飲んでいた俺を見つめた。
「やだなに半裸見つめてんの悠音のえっち」
悠音に言ってみたが無反応。
なんか俺がすべったみたいじゃんやめろよ!
「……藍矢」
「んだよ」
悠音には、学校であったような、孤独で突き刺さる冷たいオーラはもうない。
「お、怒ってる?」
「あー……かもなー」
実を言うとそんなに怒ってない。
全然怒ってない。
だけど、悠音のしょげたような顔が面白くて怒ってる演技を続行する。
「ご、ごめん、藍矢」
「……いいよ、もう」
ため息をつきつつ、自室に戻ろうとする俺の服の裾がくいっと引っ張られた。
「き、嫌いに、なった、?俺の事、」
「……」
俺が無表情で見つめると、悠音の瞳にうるうると涙がたまっているのに気づいた。
あ、やべえ。
「うぅっ、……ふ、ううー」
悠音が静かに泣き出した。
「あーごめんごめん、怒ってないって!だから、泣くなよ!ごめんってー」
俺は小さい子にするように、悠音の頭を撫でる。
「ふ、ぐすっ、……藍矢っ……!」
どすっ
「おおう」
悠音が俺に抱きつく。
はたから見たら覆いかぶさっているように見えるだろう。
俺は決して小柄ではないが、180もある幼なじみに比べると超小さいわけで。
だから、抱きつかれても身長差で腰が沿ってキツイんだよな。
「あや、あやっ。……ふふふ」
悠音はというと、まだ目には涙が残ってるが笑顔に戻ってる。
悠音に、ぶんぶん振り回されているしっぽが見えるぞ。
犬かお前は。
「機嫌直ったならもう離せ。服来てくる」
「……うん」
俺の体から離れた幼なじみはまた悲しそうな顔に戻った。
高校では、誰に対しても冷たい氷の王子。
だが実際は、すぐ泣くしすぐ甘える、大型犬のような幼なじみ。
詐欺ってんじゃねえよぉおおおお!!!
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