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俺はおこだぞ
……俺はとてつもなくおこを感じている(?)。
日本語がおかしいのは見逃してくれ。
おかしくなるほどおこなんだ。
あの後、お昼休み、西川たちと一緒にお昼ご飯を食べながら、悠音の方をちらちらと伺っていたんだが……。
こっちを気にする素振りは見せていたけど、俺に話しかけることはなかった。
いつもの氷の王子様らしく、誰も寄せ付けないオーラをまとってパンを食べていた。
そして今、放課後。
当然お昼休み後も話してない。
そんな態度をとられ続けると、こっちが悪いみたいに錯覚してしまう。
いや、今回悪いのは悠音だ。
高校生にもなって学校に行きたくないと駄々をこね、それを俺が注意したら拗ねた。
うん。完全に俺悪くない。
今まで許してきた俺の優しさに涙が出そう。
「ねー藍矢、このまま寮に帰るのか?」
西川が、鞄を手に持ちながら俺に聞く。
「そのつもりだけど」
俺は部活には入ってないからな。
「悠音と同室なんて、気まずくない?」
「うーん……寮に帰っても話さないようだったら俺から話しかける。そして怒る」
「お、おお……」
悠音の席の方を見る限り、もう帰寮しているはず。
俺が部屋に帰って10分たっても話さなかったら悠音の部屋に乗り込んでやろう。
そう決意して、西川と寮へ向かう。
「あれ、そういえば陽樹は?」
「呼び出されたんだってよ、校舎裏に」
「チッ、告白かよ」
「顔がいいってずるいよな」
いやいや、西川も十分顔がいいと思うんだけど。実際密かにモテてるし。
寮へ入り、俺の部屋の前で西川と別れる。
「どうしても気まずくなったら俺んとこ来いよ。いつでもウェルカムだから」
「西川……お前いいやつ」
西川は、だろー?と笑って自分の部屋の方へ歩いていった。
深呼吸して、扉を開ける。
そして小さく息を吸い込み、『ただいま』の『た』の音を発音しようとした瞬間__。
「……藍矢!」
おおうなんだなんだ。
部屋に入るなり大きな物体がタックルしてきて混乱する俺。
何が起きたか整理もつかないまま、ぎゅっと俺の体が締め付けられる。
「……悠音?」
どうやら悠音が、俺に凄い勢いで抱きついてきたみたいだ。
話しかけてこなかったら怒る、という俺の決意もどこへやら、ただただ呆気にとられているだけの俺に、悠音は目を合わせた。
「ごめん、俺、朝、自分の我儘で、その、藍矢に迷惑かけて、あの、それで、」
「わかったから一旦落ち着けよ」
文章構成がなってないまま一生懸命話そうとする悠音をとりあえず落ち着かせようと、俺を掴んだままの悠音の腕をさする。
「学校で謝ろうと思ってたんだが、話しかけずらくて」
心から反省してるみたいな悠音に、俺はもう腹はたってなかった。
「いいよ。俺も、ほんとに思ってた訳じゃないし……ごめん」
ぼそぼそと言うと、また抱きしめられた。
この馬鹿力めが。
身動きひとつ取れない。
「あ。それはそうと、藍矢?」
「ん、おう?」
ぱっとまた体を話した悠音。
切り替え早くて藍矢ちゃんついていけない。
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