恨み

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 それから数日後。朝、教室に着くとザワザワと教室内が騒がしかった。  一つの席の周りに人だかりができている。  また別の世界の人がやってきたのかと思いながら、俺の席にカバンを置いてその席に向かう。  ちょっと待て。あの席って……。  その席の近くに着くと、信じられない光景が目に入ってきた。 「嘘、だろ……?」  俺は目を疑った。その席は、俺の彼女の知恵の席。席に座っていたのは、知恵と同じ顔をした生徒。  だが、髪色が違う。知恵は黒髪だったが、この知恵は茶髪だった。 「来たか勇気。まずいことになったぞ。とりあえず話し掛けてみろよ」 「あ、あぁ」  俺は意を決して知恵に話し掛けてみる。 「知恵、おはよう」 「おはよう」  普通に挨拶は返ってきた。だが、次の言葉は俺の胸を締め付ける衝撃的な言葉だった。 「えーと、君の名前は?」  そう聞く知恵の顔は冗談で言っている感じではなかった。本当に俺のことを知らなくて名前を聞いているのだと、そう思わざるを得なかったのだ。 「あ、あ……」  あまりのショックに俺は名乗ることすら出来ない。後退りをした後、走って教室を出て行った。  廊下を走りながら俺は嘆く。  なんで、なんでこんなことに! なんで知恵がまた世界線を移動したんだ! 一度世界線を移動してきた人がまた世界線を移動することなんて今まで無かっただろ!  元の世界に戻れたのか? でもあいつは元の世界に戻ることは望んでいなかった。くそっ! なんでこんな形であいつと別れなきゃいけないんだ! くそっ! くそっ!  その後、俺は早退した。
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