恨み

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 次の日には、なんとか立ち直って学校に通った。立ち直ったと言っても、あいつのことはまだ未練タラタラだ。そりゃ、まだ一日しか経ってないからな。  クラスメイト達に新しく来た知恵のことについて聞くと、どうやらあの知恵はこの世界の知恵ではないらしい。つまり、俺の彼女だった知恵はまた別の世界に行かされてしまったことになる。そんなのあまりにも可哀想だと俺は思った。  ただ、一つ分かったことがある。俺もまた世界線を移動する可能性があるということだ。つまり、また知恵に会える可能性はゼロではないということだ。  茶髪バージョンの知恵に話し掛けてみたんだが、やっぱり黒髪バージョンの知恵とは何かが違うような気がした。喋り方だったり、あとは多分性格も違かったりするのだろう。  それから、一ヶ月くらい過ぎた頃。俺はまだこの世界に留まっていて、知恵には会えず終いだった。  放課後。俺は女子に呼び出され、廊下の人があまり来ない場所に連れてこられた。  その女子は長めの黒髪で、メガネをかけていて真面目そうな感じだった。名前は市川(いちかわ) 里美(さとみ)。    この人はたしかクラスで一番頭が良いと噂されていた。そんな女子が俺に何の用なのだろうかと思っていると、女子が口を開いた。 「あの、篠原君。私、あなたのことが前から好きだったの。私と付き合って欲しいの」  その言葉に俺は衝撃を受けた。まさかの告白だったとは……。  俺はどう答えるかしばらく考え、口を開く。 「ごめんなさい。俺はまだどこかへ行ってしまった知恵のことを諦められていないんだ。だから、市川さんと付き合うことは出来ない」  その返答を聞いた市川さんは、悲しい顔をして俯いた。そして、チッと舌打ちをした。  ……え? 今この人舌打ちした? 怖っ。  そして、市川さんは次に小さな声で意味深な発言をする。 「あいつを消しても結局篠原君は私に振り向いてはくれないのね。ショックだわ……そんなに私って魅力が無いのかしら」 「え? 市川さん。今、なんて?」 「特別にあなたには教えてあげるわ。みんなには内緒よ」 「え? 何言ってるんだ市川さん?」  次に市川さんは信じられない話をし出した。
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