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「あのね、洸ちゃん、私一番はダメなんだと思うの」
……突然、何を言い出したのだろうか?
よくわからないので取り合えず喋らせておこう。
「世の中の男の人は大抵一人の女じゃ満足できないのね、そうなると必ず二番目、三番目の女を作るの。でね、私はいつも一番だったから悲しい目にあうの」
……本当に何を言い出したんだ?
ヤバイ、眠くなってきた、今何時だ? とチラリと時計を見ると午前4時とかマジで勘弁してほしい、仕事あんのに。
「洸ちゃん、ちゃんと聞いて?」
半分聞き流してたのを察知したのか俺の両頬を挟み込んで自分の方へと顔を向けた。
至近距離で久々に見る日菜の顔。
……相変わらず睫毛なげえな、とかボンヤリ考えながらハイハイと頷いた。
「私ね、二番目の女になろうと思うんだ、これからは!」
……待て。
「なあ、どうやったらそこに辿り着くんだよ?」
二番目の女って何? 都合のいい女? 愛人?
目の前の頭悪すぎる発言をしている一応モトカノを憐れんでいると。
「だから、ね!! 一番目は浮気されるの! 二番目は最初から一番目がいることを知っているから傷つかないわけ! 後、二番目の方が待遇もいいの、絶対!!」
最早理解できない俺がバカなのかもしれないと思うほど真剣な目で話しているけれど。
「待遇がいいって何でわかんの?」
「だって一番目は常に側にいるから特に何もしてもらえないけど二番目はたまにしか会えないから、一緒にプチ旅行したり美味しいもの食べさせてもらえたりプレゼントとかあるわけだし」
「そうなの?」
すげえ具体的な話に目を丸くした俺に。
「そうなの、りゅうくんと二番目さんのLINE、そんな話ばっかりだったの!」
「げっ、オマエさ、そんなん覗き見したの? ヤメロって、男の携帯なんか見るもんじゃねえぞ、あれは爆弾しか詰まってない、パンドラの箱とかじゃない、汚いもんしか入ってないぞ!!」
「本当に! 見なきゃ良かった」
「待てよ? 同じこと前の男の時も言ってたような? 携帯に浮気の証拠があったって」
「よく覚えてるね? 洸ちゃん、私のことにすごく詳しい」
「ん~……、毎回似たようなネタ持ってくるしね、もしかして前の時もこんな話してた気がしないでもない」
そうだったっけ? と首を傾げる日菜。
なあ、なぜ懲りない?
なぜ繰り返すの?
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