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そんな一言から、彼との関係は始まった。
必ず雨の日にしか来てはいけないと、そう念を押されたから、必ず雨の日にだけ行くようにしている。
なんとなく、そこには彼の触れられたくない傷が隠されている気がしたからだ。
その日も、雨が降っていたから行った。
そして、雨が止んだから帰ろうとしていた。
雨が止んだら速やかに帰ること、決して彼の方を振り返らないこと、そんな約束のもと、形作られていた関係だった。
けれど、その日、空に綺麗な虹がかかっていた。
その些細な喜びを彼と共有したかった。
だから思わず、約束を破ってしまったんだ。
「ねぇ・・・! に・・・じ・・・っ!」
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