3人が本棚に入れています
本棚に追加
そこにあったのは、驚いたような彼の瞳と、それから・・・
「綺麗・・・」
そんな言葉が思わず口から零れてしまうくらいに綺麗な、彼の皮膚をおおうウロコだった。
彼の瞳や髪と同じ薄水色をしたウロコは陽の光を浴びてキラキラと虹色に輝いている。
でも、ばっとウロコを手で隠した彼を見て、しまった、と思った。
彼の触れてはいけない傷に触れたのだ、と。
「・・・ごめんなさい。でも、あたしは、綺麗だと思うな。」
そんな言葉を言うしかなかった。
けれど、そんな言葉で傷が癒せるはずがないのもわかっていた。
ぺこりと、今までで一番深いんじゃないかってくらい深くお辞儀をして、くるりと踵を返した。
「待って・・・くれ・・・」
その声は今までで聞いたどの声よりも弱々しく聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!