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それは康志が高校二年の時のこと……
高校近くの公園の奥にあった大きな桜の樹の下で、同じ高校一年だった須藤マヤと約束した事があったのだ。
その桜の大木には不思議な伝説があり、その桜の下で約束すると、必ず適う……というものだった。
そこで康志もマヤを誘い、その桜の下で……
『僕は、君以外の女性とは、同棲もしないし結婚もしない。
だから、高校を卒業して大学も卒業したら、僕と結婚してくれ』
するとマヤは笑顔で、
『はい!』
そして二人は熱いキッスをした。
ところがマヤは、その夏に、父親の仕事の都合で、遠くの街へ引っ越してしまったのだ。
康志は諦め、その約束も次第に忘れていった……。
佐知子は、話をつづけ、
「私は当時からマヤさんの友達で、あなたのことも聞いてました。
彼女が転校した後も、私は彼女とメールで連絡を取り合っていたんです」
康志は、顔色を変えて、
「その過去にした約束のために、今度のような事が起きたのだとしたら……。
須藤マヤさんと会わないと……。会って、あの約束を白紙にしないと……」
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