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すると佐和子は、溜め息をつき、
「それは……無理です。
マヤさんは去年、病気で亡くなってますから……」
康志は「えー!」と言って立ち上がり、
「だったら僕は……どうすれば……」
佐知子も、ゆっくり立ち上がると、
「……お気の毒ですが……」
佐和子は帰って行ったが、その前に康志は、マヤの墓のある墓地の住所を訊いた。
そして後日、康志はマヤが永眠する墓地へ向かった。
太平洋が望める墓地の一角に、彼女の墓はあった。
康志は神妙な気持ちで合掌すると、
(マヤさん、桜の下で僕が約束した事は忘れて、どうか成仏してください……)
そして康志は墓地を後にした。
が、彼の顔は晴れやかだった。
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