15人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
それから数ヵ月後、康志は別のマンションで同棲を始めた。
相手は、安当ミカという美しい人だった。
が、そのミカは、いわゆるオネエだった。
しかし康志は幸せだった。
ミカは料理も家事も上手く、気立ても良かったからだ。
男とか女とか関係ない。
愛し合えて、見詰め合える存在が傍にいれば……。
康志は笑顔で明言する。
「そう、あなたを選んだ理由は、オネエつまり同性だったから」
あの日、マヤの墓前でマヤに話したけれど……今後、同様の「事件」が起きない保証はない……。
それに、あの「事件」が、マヤにした約束のために起きていた、という確証も無かった。
しかし、次に出会った彼女も、もし変死するとしたら……。
だから康志は、決心したのだった。
ミカは、女性以上に明るい笑顔で、
「さー、食事にしましょう」
「しかし、君と出会ったのも実に奇遇だったよね……」
「そう言えばそうね……」
「亮子の葬儀の帰りに乗ったタクシーの運転手が、君だったんだ……。まさか、こうなるとはね……」
「でも私、幸せよ」
「勿論、僕もだよ」
二人は、ワインの入ったグラスを傾けた。
――終――
最初のコメントを投稿しよう!