死神から離れるために

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 それから数ヵ月後、康志は別のマンションで同棲を始めた。  相手は、安当(あとう)ミカという美しい人だった。  が、そのミカは、いわゆるオネエだった。  しかし康志は幸せだった。  ミカは料理も家事も上手く、気立ても良かったからだ。  男とか女とか関係ない。  愛し合えて、見詰め合える存在が傍にいれば……。  康志は笑顔で明言する。 「そう、あなたを選んだ理由は、オネエつまり同性だったから」  あの日、マヤの墓前でマヤに話したけれど……今後、同様の「事件」が起きない保証はない……。  それに、あの「事件」が、マヤにした約束のために起きていた、という確証も無かった。  しかし、次に出会った彼女も、もし変死するとしたら……。  だから康志は、決心したのだった。  ミカは、女性以上に明るい笑顔で、 「さー、食事にしましょう」 「しかし、君と出会ったのも実に奇遇だったよね……」 「そう言えばそうね……」 「亮子の葬儀の帰りに乗ったタクシーの運転手が、君だったんだ……。まさか、こうなるとはね……」 「でも私、幸せよ」 「勿論、僕もだよ」  二人は、ワインの入ったグラスを傾けた。  ――終――
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