美男<イケメン>ですが

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 午後六時。  そろそろ約束の時間だわ。  鍋にかけている火を弱火にする。  フライパンで炒め終わった具材を鍋に移し、水を入れて沸騰させていた。  もう少し煮込んで具材が柔らかくなったら火を止めて、カレールーを入れて完成ね。  ―ピンポーン―  来た! ケンジさんだわ!  鏡をチラッと見て、髪型と化粧に崩れがないかをもう一度確認してから玄関へと急いだ。 「はーい」と言いながらドアを開ける。 「ユキちゃん、こんばんは。この間はどうも」  ああ、やっぱりこの人、すっごいタイプ! イケメンだわあ。今夜私、もしかしたらこの人と……。うふふふふ。   「こんばんは。どうぞあがって」 「一人暮らしの女の子の家に上がるなんて緊張するなあ」  ケンジさんはそう言いながら、私が用意したスリッパを履いて部屋の中へと進んだ。
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