うつろひ

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母は今幸せではないでしょう 難病に苦しみ認知症が進み 何もかも思うようにいかない 母が望んだことはほとんど叶っていない しかし独居なわけではなく 独身とはいえ同居する息子が居て 母の望みを尊重して在宅のまま 介護保険をフルに使って介護している スープの冷めない距離にあたしが居て 週に5日は通ってるし 週に1日か2日は孫娘が行く それでも母は不平不満ばかりで ふたことめには「あんたはいいよね!」 母と弟は不幸な身の上なのに あたしだけがのうのうと幸せを享受している と言うのです そもそも母はあたしに婿養子を迎えて あたしと同居したいと常々言っていました しかしあたしはそんなのごめんだった はっきり言ってしまえば 母の支配から逃れたかった 起きてから寝るまでいちいち支配されて 起きろ 食べろ 風呂入れ 電話切れ あんな人間とつきあうな そんな服を着るな 酒など飲むな 高校も大学も職業も指示されて でもその通りにはならなかったから のちのちまで責められました 結婚した相手のみ母の思うような人物で 学歴職業ともに望ましく さらにあたしの自由を認めるおおらかさで あたしが母の都合に振り回されても 文句も言わずに送り出してくれる そんな人だからか 母はあたしに対して要求するばかり 今以上これ以上あたしに何ができる? 我が家に引き取ることだけはできない 家の構造上の問題もあるし 何より夫の親が存命なうちは無理 あたし自身も心がもたない できることしかできないよ 不肖の娘で申し訳ないけど無理なんです
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