*ゆきだるま*

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*ゆきだるま*

―――洸っ、お前、そんな恰好で寒いだろが! 屋根から落ちる雪やツララから、窓が破損するのを防ぐため、窓には雪囲いがされていている。だから全ての窓から外の様子が見える訳ではなかった。 だが、店のキッチンへと繋がる、階段を降りてすぐ突き当たりの壁にある小さな窓には囲いがない。 何気なく覗いた窓の外に洸の姿を見つけた俺は、その軽装に驚いた。 いつもなら、外に出る時は空色のダウンジャケットにキャラメル色の帽子と手袋という完全防寒な寒がりの洸なのに、パジャマ姿のままだったのだ。 なんどもいうがここは雪国。そして、季節は冬の盛りだというのに。 ―――熱出したって知らないぞ。 ついつい、俺の口から漏れるタメ息。 扁桃腺が弱いのか、あいつの風邪は喉にくる。居候しているこの半年の間、少なくても3回は高熱を出していた筈だ。 本当に、洸は自分の躰には無頓着で目が離せない。 それにしても。 こんな朝に、外で洸はいったい何をしているんだろう。 やかんに水を入れ火に掛け、俺はあいつに一言小言を言う為に、外へと繋がる裏口の扉を開けた。 「うわっ!」 扉を開けた瞬間に顔に感じた冷たい刺激に、思わず声をあげる。 顔にヒットした、洸が投げた雪玉。 その拍子に眼鏡がずり落ち、俺はなんとも間抜けな顔をしているに違いなかった。 「ビンゴ~!」 ビンゴ~!じゃないだろ…、いきなり何すんだよお前。 眼鏡を直しながら洸の方を睨めば、キラキラした笑顔が眩しくて。その笑顔に一瞬見惚れる。 「風邪引くから、早く中に入れよ」 「嫌だ。せっかく、良い雪質の雪が積もったのに!梶さんも遊ぼう、ね?」 「遊ぼうってね、お前。上着も着ないで」 「あぁ、それはね…」 得意気にな顔をして、俺の方をみた洸が指を指したその先に鎮座していたのは―――。
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