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*居候の君*
―――腹、減ったな。
盛大に腹の虫がその存在を主張している。
緩やかな微睡みと言う女神の腕に抱かれ、所謂惰眠というヤツを貪る幸せを享受する俺だったが、人間の三大欲求のひとつである『食欲』と言う名の欲には敵わない。
その暖かな褥から抜け出した時にはすでに午前8時を既にまわっていた。
「おい、洸、起きろ」
ソファーベッドに寝ている洸に俺は声を掛ける。
この喫茶店の二階の住居部分は二部屋しかないのだが、うちひと部屋は物置小屋と化していた。ひと部屋だけの住居スペースは、俺一人で暮らすには充分な広さだが二人で暮らすには少し狭い。
じゃあ、なんで居候なんか―――と思うだろうが、それは断れ無い理由があったからに他ならない。
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