フユノオト

＊居候の君＊

俺は女性を好きになれない。
それに気がついたのは高校生の時だ。

田舎町の狭いコミュニティーのなかで、人とは違うその事実をカミングアウトすることは難しく、親友の女友達にしか打ち明けることが出来ずに過ごした学生時代。

―――どうせなら皆と同じで在りたかったのに。

好きになる男はノンケばかりで、嫌われるのが怖かった。せめて友達でいたい―――だから好きになっても自分の気持ちなど伝える勇気など持てず、気持ちを押さえ込んで生きるのが癖になってしまった俺にとっての救いは親友である女友達の佳世だった。

俺にとって、彼女のサッパリとした性格は好ましく一緒にいるとすごく気持ちが楽だったし話も弾んだ。

だから、もしかしたら俺は佳世のことが好きなのではないか。女性を恋愛対象としてみれるかもしれないそう思った時期もある。

だが、佳世の事は人間として好きだが恋愛感情は無く、それは向こうも同じだった。