*冬の朝*

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*冬の朝*

立春が過ぎ、 少しだけ日が昇るのが早く感じられるのが早くなって来た朝。 天気の良い日の早朝。 真冬の寒さの真っ只中なのにも関わらず、辺りが漆黒の闇から僅かに藍色に変化し、刻々と朝焼けから白い朝に変わっていくグラデーションは夜から朝に変わる瞬間が短い時間に刻みつけられるショータイムだ。 ―――朝の美しい時間。 だけど、俺たちが暮らすこの北の雪国にとっては、今が一番寒くて厳しい季節であることには変わり無い。 いつもの朝であれば、 この日常から逸脱した誰のものでもない、自分しか存在しないその僅かな刻を、 自慢の珈琲を片手に一人楽しむ。 いつもの朝なら、この時間は両親が営んでいた喫茶店の跡を継いだ俺にとって、心地好いベットから這い出して己の内面と向き合う一日の始まりの時間。 すべてを1人で切り盛りしているため、何もかも自分でしなければならないので、僅かなその時間で鋭気を養うと、開店の為の支度を始める。 父親の代からこの場所で営んでいる喫茶店には、会社に出勤する前に珈琲を飲んでいく馴染みの客がいて、顔馴染みになった近くにある小さな診療所のスタッフが出勤前にテイクアウトの珈琲を買ってくれることもあり、朝はソコソコ忙しかった。
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