21XX

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辺りは暗さを増し、雨がぽつぽつと降り出した。水面に無数の波紋が広がって消える。男はまだ池の中心で遊んでいたが、私は帰ることにした。 私が立ち上がって行こうとしたことに気づかなかったのか、あるいは気づいていたのかもしれないが、男はついては来なかった。次第に強まる雨の中を、私は急いだ。 やっとの思いで自宅の玄関まで帰り着いた時には、全身の痛みはすでに限界に達していた。男がついてきていないことを再度確認した私は、震える手でコートのポケットを探り、錠剤を掴めるだけ掴み出して一気に飲んだ。そのまま扉にもたれかかり、薬が効くのを待った。 痛みがひいていく。寒さがやわらいでいく。 去りかけた正気を引き留めた私は、骨のような手でノブを回し、家の中に入った。 よろめきながら寝室の扉を開け、ベッドに倒れ込む。今し方失せたはずの痛みと寒気が微かに蘇り始めていることを、枯れ枝のような全身が感じ取っていた。腐敗した空気のせいか、薬の副作用なのかは、もはや分からない。
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