21XX

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私はあの男のことを考えた。私が去った後、どうしたのだろう。家に帰ったのだろうか。帰るべき家はあるのだろうか。あるいは今もまだ、池の中を泳ぎまわっているのだろうか………。 ガラス窓を叩きつける雨は、なおも激しさを増しているようだ。これでは池も大荒れだろう。そんなところで泳いでいたら、さすがのあの男でも、凍えてそのまま沈んでしまうのではなかろうか。 今日会ったばかりの男のことを、なぜ私はこんなにも心配しているのだろう。あの男の中に、何か惹かれるものがあったのだろうか。分からない。だが、正義感の強い男であったことは、間違いない。 遠くの空で、雷が鳴っている。
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