犬の手と私の無知と日常。

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女子会は日を跨ぐ寸前まで盛り上がった。 蛍光色のピカピカ輝く世界に少し酔ながら、私たちはハイヒールのカツカツという音を道に落としながら小走りで駅に向かった。 駅に着き、私たちは恒例のハイタッチをして別れた。 この年になって、ハイタッチというものはなんだか少し照れ臭くもあるが、出会った時からの習慣で、このハイタッチがあるお陰で何かが繋がっているような気もしている。 終電間近、ギリギリセーフで電車に乗りこみ、ドアにもたれかかった。 電車の中は、静かで、日常のおわりへゆっくり進む。 私の頭の中であのフレーズが再生された。 「猫の手も借りたいわ。」 「私は犬派だな〜。」 『猫の手も借りたい』 このフレーズは世の中でまあまあ使われていると私は思う。 だが、なぜ猫なのか、考えたことはなかった。 普通に見て、猫は気ままで自由に生きているイメージだ。 方や、ほとんどの犬は飼い主に忠実で、そういえばテレビでゴールデンレトリバーが寝ている飼い主に毛布をかけたり、部屋の電気を消したりするなど、とても人間の役に立つことをしていると紹介されているのを見た。 こんなにも賢く人の役に立つ犬がいたりするのに、なぜ猫なのだろうか。 私は疑問に思ってしまった。 これを知ったから何か良いことがあるわけでもない。 正直、どうでも良いことだ。だが私の探究心には火がついてしまった。
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