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約130年後
「私この家がいいです」
珠子の意識は生まれ変わるための
準備をしていた。
「本当に?」
役人が疑わしそうな目で見る。
「はい。」
「珠子さんだっけ?あの家には確かに
友市さんの生まれ変わりがいるけれど
うめさんの生まれ変わりもいるんだよ?
この家を選んで本当にいいの?」
「はい!」
迷わない。
例えうめさんがいたとしても
禁忌でないのなら。
一緒にいられるのなら。
兄妹の絆で結ばれたい。
珠子のための珠子の意識による
最後のお願いであった。
「分かった。」
役人がデータベースに書き込む。
珠子の意識はだんだん消えていった。
「オギャー!オギャー!」
病院に鳴き声が響き渡る。
「生まれましたよ!元気な女の子です。」
私の物語が始まる。
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