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2:冒険者たちの憂鬱
この世界で魔王討伐を目指す者は、ギルドに登録をするのが一般的である。そこで様々な職業に就いた者たちと意気投合し、互いに補い支え合いながら冒険をするというのだった。
この日、トキオウにある1.2を争う大きさのギルド「グアンのギルド」には朝早くから冒険者が押し寄せていた。入り口付近では、ギルドの職員らしき人間が人員整理をし、順に店の中へと人々を誘導していった。
並んでいるものの多くは肉体を使って戦うファイター系の人々だった。
しばらくしてギルドの表にある掲示板に1枚の紙が貼られた。「求む!魔導士諸君!!」
その張り紙を見て、肩を落としその場を去る者も多数いた。
そう、距離を保って戦わなくなってからというもの魔導士やアーチャーなどの遠距離攻撃を得意とする冒険者の人気が一気に急増した。そして肉体と手にした武器を駆使し接近戦を得意とするファイター系の職業が凄まじいまでに不人気となっていた。稀に人気があったとしても、その者はムチ使いだったり、ブーメランや円盤などの飛び道具の使用に長けている者たちであった。
そしてその様に、冒険者として需要の無くなった者たちは、一様に転職を行うため、トキオウ城にある「職業認定所」に向かうのであった。ここでは各自が職業訓練を1週間~1か月ほど受講し、技能試験を突破すれば、晴れてその職業を名乗れるというものであった。
しかし今度はこの職業認定所に人が溢れ、感染リスクが相当に高まる結果になってしまった。
この国では、冒険に出ることで国から給金が支給され、またその戦果に応じて歩合で給金を得ることができる仕組みだ。そのため魔王討伐の冒険に出ないという事は、すなわち生活の糧を失うことに等しいのであった。
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