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菜々葉は目が冴えていた。昼間にあった里井との出来事が頭をよぎる。
――飲みすぎたかも、コーヒー……。
しかし、里井と同じカップで飲んだコーヒーの味など覚えていなかった。
――きゃああ……。
寝息を立てる信也の横で、奈々葉は自分のマクラを抱き締めた。中学生がどこかの部のキャプテンに憧れる、という心境だ。そんな心境の自分にも胸がときめいた。髪に里井の大きな手のひらの感触が残っている。なぜか涙が溢れた。抱いていたマクラに顔を伏せる。
ラインのメッセージを知らせる通知音が軽やかに鳴った。
✣
美希からのメッセージだった。
美希『おーい』
奈々葉『美希、部長、呼んでなかったよ』
美希『えっ、ホント?』
奈々葉『やってくれたな!』
美希『怒った?』
奈々葉『ありがと……』
美希『え……どゆこと?』
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菜々葉はいつの間にか眠りに落ちていた。
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