悶々した気持ちで

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「あん……」 「大丈夫ですか?」  男性が何の感情もなく言った。その手が一瞬止まり、すぐに再開する。 「少し……くすぐったい。あああっ……んんっ……」  奈々葉の身体が魚のように跳ねる。  暖まった足元の空気がすうっと入れ替わると、彼の手のひらは徐々に奈々葉の大腿、ふくらはぎへと降りて、再び脚の付け根の内側に戻る。紙の素材のショーツの際まで指が入り込むと、ゴソゴソとその中の茂みが揺れる。  彼の指は奈々葉の潤みの中心に触れそうで、届かない。 「それでは、今度は仰向けに……」    と、奈々葉の背中にタオルケットが掛けられる。 「はい……」  奈々葉は、彼が言うとおりベッドにタオルケットの中で仰向けになった。両方の手のひらと腕で胸の膨らみを覆う。 「失礼します……」とまぶたの上にもタオルが掛かり、手首を取られ、ゆっくりと腕が降ろされるのが分かる。胸も何かに覆われる。  再び、粘りを捏ね始める音が広がる。クチュクチュと……。  朝の手洗いでの悪戯と里井との唾液が混じる音がシンクロするようで身体が熱い。  タオルケットがふわふわと膨らむ。鎖骨の辺りが温かくなる。 「ああ……んっ」  オイルが伸ばされて塗されるのが分かる。首筋に電流が走った。里井の舌と唇がそこを滑るのを妄想する。 「はっ……」  男性の手のひらが二つの胸の膨らみに沿う。自分の胸がプリンのようにフルフルと揺れるのが分かる。温められたオイルが丸みに沿って塗られると、男性の手のひらが肌に吸い付くようで心地よい。だが、その中心には届かない。 「ん……うっ……あっ……」  奈々葉の腰が自動的に揺れ、膝が開く。  それを無視するかのように男性の手が滑り降りる。腰までタオルケットが捲くりあげられる。    臍の周辺が人肌に満たされる。男性の指が圧迫を繰り返す。    ショーツの方へ降り、その手は大腿、膝、ふくらはぎへ伸ばされ、再び脚の付け根の方へ戻る。  ショーツの際に指が掛かったその時毛布を掛けられ、目の上のタオルが外される。  ――ふう……。 「お疲れ様でした……」    奈々葉の身体に入っていた力が抜けたような気がした。
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