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夫の隣で……。
深夜、奈々葉は寝室のベッドの枕元にあるドレッサーの前に座っていた。夫の信也はもう寝息を立てている。
自分の唇を見た。
ピンク色で艷やかで肉厚の唇が鏡の中にある。奈々葉は自分の唇を指でたどった。自分の顔をじっくり見ることなど結婚して以来なかったような気がした。
唇と肩に里井の温もりが残っているような気がした。
――たしかに、私、ときめいてた。里井部長に……。
耳たぶに熱を帯びる。ピンク色に染まった色白の頬が鏡に映っている。
「まさか、私……」
と、自分を否定する。
✣
眠れなかった。
――少しだけ……。
パジャマ代わりの大きめのティシャツの中に手を忍ばせる。里井にポチャポチャしていると言われた身体に手のひらを滑らせた。手のひらが肌に吸い付くようだった。
ブラジャーを着けていない二つの膨らみの形と柔らかさを確かめるように撫でる。指先でグミのような部分を挟んだ。痛さの中にある快感が鋭い電流になり、そこから背筋に広がった。身体の奥に熱を帯びる。
――気持ちいい……。
「あ……」
声が漏れそうだった。隣には夫の信也が眠っているというのに……。
奈々葉は息を飲んだ。
――夫の横で、こんなイヤらしい行為……。
考えてみれば、奈々葉は大学生の頃セックスを覚えて以来、自分の身体を慰める行為など初めてだった。
膨らみの頂点にある突起を指で探りながら、片方の手で自分の下腹に滑らせた。
ふっくらとした丘に茂る柔らかな芝を手のひらで撫でる。
こそばゆい。
ショーツの中がジンとなって湿り気を帯びてゆく。
ジンとした場所を指でたどる。隣で寝息を立てる夫に悟られないように……。
――ああ、部長に見て欲しい。奈々葉のエッチなところを……。
「ああ、んっ……んあっ」
小さな蕾を指先で探し、湿り気をまぶすようにそれを転がす。
喉から漏れそうな声を抑えようと唇を噛む。
ニチャ、クチュ……と言う音を聞きながら蕾を転がした。
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