4人が本棚に入れています
本棚に追加
東北ダンジョン
2011年の震災後、 新たなダンジョンが発見された。場所は海底だった。被災地の確認のため防護服を着た作業員が海岸を見渡せば、そこには美しいセイレーンたちが手を振っていたと言う。
なぜか放射性物質は想定より極めて低い値を示し、しかし他のダンジョン付近ではほとんど見られることのないダンジョン外でのモンスターの大量出現が見られた。以降、被災地付近の太平洋側では時折、人魚や海坊主のような海辺の怪物の目撃例が挙がるようになった。
モンスター被害については、彼らの巣である海底ダンジョンの入り口付近にさえ近づかなければ一般人が襲われることは少ない。しかしゼロではないため定期的に探索調査士資格を有する地元冒険者や漁師により駆除が行われている。人魚の肉に関しては、ダンジョン出現から20年ほどしか経過していないこともあり、伝説にあるような効果はまだわかっていない。ダンジョンが海底のため、探索もあまり進んでいない。
東北ダンジョン付近の大地にも異変が見られた。塩害ではなく、植物の巨大化、またはトレントの様な野菜や花きの姿をしたモンスターが跋扈していたのだ。どうやら津波と共にモンスターが流れ着き、人間が避難している間に居ついてしまったらしい。
しかし、直接ダンジョンと繋がっていない地上のモンスターは、倒してしまえばその場所から完全に居なくなることが分かっている。ただし、植物のモンスターの中には再生力や仲間を増やす能力を持つ個体も確認されており、完全な掃討には至っていない。現状、モンスターとの共生も視野に入れた復興が求められる。
最初のコメントを投稿しよう!