きっとあなた フェチ 2

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❁ Ⅳ ❀✿❁❀ ✿ 『 何人も、  公共の福祉に反しない限り、  居住、移転及び職業選択の        自由を有する ―』 なんて、この国にはあるけれど、 これって、面接のときに     言い返せないデスヨネ… 建築の勉強をしてその頑張りが 認められて、 学生時代に「奨励賞」頂戴しても、 表彰式後の写真撮影でポーズ決め られたり、笑顔を強制されたり、 学生の代表として前に出る事を 求められたり、 そんな事があると、ウレシクナイ。 それ以外にも建築事務所でバイト したり、 デザイン事務所でバイトしたり して、人よりも、ちゃんと勉強 したつもりでも、 勘違いしちゃいけないのデスネ、 それで、 せっかく建設会社に就職できても、 そこに就職できた事に周囲からも 驚かれ、 「 如何やって、入ったんだ 」 なんて、          イワレテシマイ … 「うちは顔でとるから…」なんて入社後 に、採用担当以外の人に云われたりする。 そのとおり、新人研修が終わったら、 受付に配属になっちゃうし、 コレッテ… 「人事には逆らうな」とか、 「座っているだけで、  外に出なくて良いんだから」とか、 そんなこと云われても…         絶句したまんまの私。            「 ...... 」 そうか… でも、新卒の、なにも無い私には、 これに、何て言い返せば良いのか 分からなくて。 私、いったい、 何のために勉強したんダロウ… それで、 3か月の我慢の末、新しいところを 探してみる。でも、面接では、また、 自分では、どうしようもないことを、 キカレル。 「この仕事には似合わないよね」 「これは、  華やかな仕事じゃないからね」   「ご家族は何て言ってるの」 「作業着、着られるの」 「現場に、   キレイなトイレ無いよ」 って、分かっていますけれど… 「だから、ナニ!」って、          カンジデス。 云っている方は、悪気はないです よね、お仕事ですよね、でも、 何度も、何度も、似たようなこと を云われ続けると、こんな事に、 チャンと答える気にもなれずに、      ただ、失笑してシマウ。            「 ...... 」 そう、 子供の頃からそうだったんです。 学生時代もそうだった。 勉強を頑張って、 テストで良い点数をとって、 課題もチャンと全部こなして… その結果、 成績が良かったりするのに、 「カワイイといいよね、      先生に贔屓されて」 って云われて、 努力は台無しにされるんです。 「何でも思い通りでしょ」って、          云われたら、            「 ...... 」 何と答えればイイノデショウ… 結局、私には、 外見だけで判断された事ダケ。 努力は報われない、 人生思い通りじゃない... そんな色眼鏡で見られるのなら、 「フリーランスで勝負します」 なんて、 弱いくせに強がって、 簡単に会社を辞めてしまう。 こんなカンジを繰り返し、     負けず嫌いナノニ… この世の中、 自分が可愛いと思っている女子は、 二人に一人ってご存知ですか? これはどうやって、 データを集めたのでしょう… そんなに、 自分に自信が持てるなんて、 羨ましいです。シンジラレマセン… フリーランスは自分優位に働く場所や、 仕事を選べるメリットがあって、好き な場所で、好きな時間、好きな仕事が できるのがお気楽でウレシクテ、 でも、 時には、少し厄介な事に巻き込まれ チャッテ… 今回の仕事、 初日から「自分の女」扱い?  この所長、セクハラパワハラが大好き で凄い人デス。 でも… たった4日間だし、 逆に、この所長、を!  " カラカッテ アゲマショウ… ” 200人位が動いている、建設現場に 入っての、「竣工検査立会いの仕事」 では、短期の、 お仕事で、お小遣い程度の金額しか 入ってこないけれどそんな仕事デモ、 この仕事自体は好きだから、 ゼンゼン良くて、 これも、契約金で仕事を選ぶよりも、 自宅から近くて、なるべく、遅い時間 にスタートする仕事を選んで、 この建設現場ってホントは朝礼もめちゃ めちゃ早くて安全確認も大変だし仕事以 外にもめんどくさいことがイッパイデス。 でも、それも… 大勢だから、 一人ぐらい遅くに入っても 「お疲れ様です!」って元気よく、 当たり前の様に合流すれば、 どうにか ?   ナッチャウンデス。 現場仕事は、 気象状況季節によっても作業の 大変さは全然変わってくるけれど、 これも、 暑い時、寒い時、台風シーズンに、 働かなければイインダカラ… だって、 完成したばかりの建物の現場には、 空調が無いんです。その建物の中に 居ても、外と一緒で、 暑い日には暑いし、 寒い日なら寒いんデス。 だから、 ここで、ゼネコンの社員の人たちは 大変です。朝6時くらいの出勤とか、 台風の時なんか、 現場に張り付いて、安全確認トカ… こうした現場でちゃんと働いている、 責任者は大変だと思います、本当に、 心から、尊敬いたしマス。 ……でも、   私だってこれだけヤラレルト、   それなりに、ヤリカエサナイト… この現場では、 「気が済まない」、だから「外す」を 武器に、やりたい放題の所長は、 ただの、セクハラ、パワハラだけじゃ 面白くないのか、結構、いろいろ、 仕掛けてくるんです。 ソレナラバ、私も…… オ・ア・イ・テ・イタシマス… 建物が完成した頃に行われる、 「竣工検査」 のお仕事。もう、完成間近で、少し 埃っぽいけれど、そんなに、汚れない から、この時期の現場はスキデスシ、 「立会い」は、ただチェックするだけ の仕事だから肉体労働でもないのです し、良いカンジの仕事だと思って、 依頼があれば引受けてイタノデス。 ここでも、 そんなカンジで初めての仕事で はなかったのですけれど… このゼネコンの、 この仕事の女性技術者はまだ少ないみた いで       私一人だったのデス。 でも、いつもは、 現場ごとに、そこの所長の判断があって、 一人で行動させないとか、もう一人、 女性の技術者を同じ時間に入れるとか、 それぞれに対応されていたのですケレド、 ここの所長は「女の扱い」をここまで やるのかって、この人、 いつの時代の人なのかと、逆に、呆れ てしまうほどで、 面白かったです…  私が担当したのは、たった4日間 だったけれど現場は大騒ぎデシタ… 「一日目」 現場の、集合場所の仮設事務所のプレ ハブには、その日に、必要な道具も 揃っているのですけれど、この現場で 驚いたのは、壁に、社員さんと、所長 の、携帯番号がデカデカト張り出され てあったのです。            「 ...... 」 それも…… たぶん、急いで作ったミタイデス。 これは、 自分の携帯にこの番号を入れさせる ためで、この貼紙は異様に「大きい」 から、「気づかなかった」では済ま されないのデス、 この所長の本音は、自分から、call したときには、事前に自分の番号を 知らせておいたのだから、 " 必ず出なければならない ”      との、圧しつけナノデス。 これが貼りだされたおかげで、 「所長の  電話だと分かりませんでした」 が、私には云えなくなるのです。 その所長の電話は、当然、仕事の ハナシデハナク、 「一緒に帰ろうよ~」との " 私情の話 ” の ! 電話です。それが、 分かっているから、所長の番号の電話 には出たくない !     デスヨネ、 だから 「マナーモードで   気づきませんでした」 としてみたら " マナーモード禁止” のお達しが、私だけではなく、            「 ...... 」      ここの全員の人たちにデタノデス。 そのせいで、 現場では、あちらこちらで、         着信音が … しかも …   朝礼の後の、 打ち合わせではいつの間にか、 所長が背中にくっ付いていて、 このお仕事は、私は、 初めてじゃないです!けど? 「初めてのお仕事でしょ?」          みたいに、            「 ...... 」 一から、ここでの仕事の流れを、 ご説明シテクダサイマシタ。            「 ...... 」 「 知っていますケド 」って です よ!       … けれど、    言い返すのも面倒くさいので、 黙って頷きながら聴いてあげました。            「 ...... 」 それに「女性だから」の特別対応も、 私は弱くないから、ゼンゼンいらない のですが、なぜか、厳戒態勢を、 勝手にしいてくれまして、            「 ...... 」 職人さんとのやり取りは「20分以内」 と、決められましたケレド、 これも実際に作業をすれば無理なコトデ、 20分で終わる作業ばかりじゃないのデス。            「 ...... 」 そうそう、ゼネコンの社員さんが作業 で変わる、職人さんの手配を間違え て、金物調整の職人さんが欲しいのに、 クロス職人さんが来ちゃったこと             アリマシて、 この職人さんでは建具のストッパーの 調整はできない人だったので、当然、 代えてもらって、も …     その待ち時間は認めラレズ … その「20分ルール」のせいで、次の日 には、規則違反の、その、職人さんは、 現場から外されていたのデス。            「 ...... 」 私と、社員さんはお咎めナシデス。 こんなおかしな事も、ここで は圧し付けられるのデス。            「 ...... 」 そうされるのならば、いちいち20分 ごとに、 一旦、通路の防犯カメラのある処 まで往くようにするのですけれど、 その為に作業場から20分ごとに離れな ければならないデスヨネ、 これでは、 仕事がしづらいですし時間の無駄ですし、 作業効率も悪いですよね、でも、これも おかしいですけれどこの所長はチャント、 防犯カメラでチェックするのデス。            「 ...... 」 だから、それも、どれほど、 チェックしているのかと思って、 休憩中、 控室にある防犯カメラにムカッテ、 ちょっと、撓り、 セクシーポーズをとって揶揄って みましたら、その数十秒後、控室の ドアをノックもせずに、この所長は、 飛び込んできたのデス。 「・・・・・」    「 ...... 」 だからワザと、「キョトン顔」で、 無言のまま、 所長の方をムイテミマシタ…            「 ...... 」 そ・れ・な・ら・ば・と、 休憩時間にこの控室に居る時には、 その防犯カメラの可動範囲以外の処 で休憩することにシテミマシタラ、 なんと… 次の日の朝には、脚立が控室に置いて あって、たぶん、カメラの可動範囲を 変えられたみたいです。            「 ...... 」 椅子の位置までも... カメラの前方にキチンと並び変えられ ていて、そこに座る様にとの「圧」を 感じました。            「 ...... 」 … ゴクロウサマデ ~ ス ! この所長当たり前の様に初日から、 「自分の女」みたいに、勝手に管理 を始め、 色々、画策したりして、マイルール を、決めてくるのには驚いたのです ケレド、          「 ふ ~ん 」 でも、それならば、その様に、   タイオウスルマデ、デス。 「二日目」 この日の仕事が終わる20分前の 「16:40」 所長からのcallがあったのです。 マナーモード禁止は、継続、 だったのですけれど、うっかり、 「マナーモード解除を忘れた、」 にしたら、 イインジャナイデショウカ… そのまま、気づかない振りをして、 でも、 直接、声を掛けられたくはないの ですから、急いで帰り支度をして いたのですケレド… なにやら周りで、ゼネコンの社員さん 達がバタバタしだしたので 「ナニ? 何事?」って不思議だった ので、確認をしにそのバタバタの社員 さんの前に出て行ったのデスガ… すかさず、たぶん所長に電話をされた のです。つまりこのドタバタは、所長 から社員さんたちに出された、その人 達にとっても余計な仕事だったヨウデ、 これは、ヤバいので、ダッシュして、 建物から離れようと一生懸命に走った の、ですケレド、 その逃走ルートも、都度報告の連絡が 所長に入っていたラシクテ、 約20分後、建物の外に出る通路の端の スグ手前には良いタイミングで所長が      仁王立ちをしていたのです。 「 ・・・・・」            「 ...... 」 私はしばしそれを凝視して、 「 絶句 」シタノデスケレド、 " 何も分かりませんけれど ” っとの カンジを出してとりあえず           ゴアイサツヲ、       「 失礼いたします …」                    と申し上げたら、 「 ・・・・・」 っと、無言で、 睨みつけられただけでシタ。              なぜ、 そこに、所長は居たのでしょう… ただ クビヲカシゲテミマス。            「 ...... 」 この所長は、プライドが高く、    直接は私に話しかけてきまセン。 「 ・・・・・」    「 ...... 」    職人さんや協力会社の人たちも、 この所長には直接話はできまセン。 「 ・・・・・」      皆、この所長に挨拶をしても、 この所長は、応えまセン。 「 ・・・・・」  いつも現場では、 なにも声を発しないで、 ただ、 「 ・・・・・ 」 怖い顔をしたまま、 動かず、胸を張り、 仁王立ちをしているので、 『 銅像 』か、 と、思ってしまいマス。 「 ・・・・・」  ドレダケコワイカ、ハ ...... ガタイの良い、オジサンが、 仁王立ちして、        黙ったまま、 目だけを動かして、     ニラミヲキカセル、         カンジ ...... デス、 ソレニ ...... 私が所長からのcallに対応しないと、 社員さんを使ってまでも、       分からせようとしマス。            「 ...... 」 「三日目」 朝から、 社員さんたちが私を捜していたのです。            「 ...... 」 派手にバタバタと " 捜しています ” アピールをしています。昨日の続き みたいです。 嫌味な、所長の仕返しデショウカ?  " やっと見つけた ” 感を出して、 近寄ってきた社員さんの一人が 「スマホはマナーモードに     しないでください」と、        ワザワザ伝えたのです。            「 ...... 」 ゛同じ事はさせない ” な、の、            でしょうか? この執拗なパワハラは、ナンデスカ?  この頃の現場のゼネコンさん達は、 暇なのでしょうか? 何故こんな事全員でシテイルンデ              ショウカ、            「 ...... 」 所長は、真顔で、こんなこと、 社員さん達に指示を出してイル           ノデショウカ… 所長は、     … ヒマ、ナノ、デスネ … それでも、 二日目よりも私の仕事量は増えていた のです。これでは、" 残業 ” になるの です。昨日よりもチェックする場所が 20件も多くなっていましたし、でも、 残れば、人が減って、私を捜しやすく         ナルノデスモノネ… それに、独りになっちゃうと … 外に出られる建設現場の重厚なゲート は、鍵が開けられていても、私には重 たくて、   動かせないのですから、         アケラレナイノデス。 つまり、 ここを出る時、誰かに開けてもらわなけ れば、独りになったら、私は出られない のです。あ … 1時間遅れになりました。            コレハマズイ… やはり … そこに、所長が、待っていました。 「・・・・・」    「 ...... 」 これでは、 飛んで火に入る …    デスカラ … そう … 独りでそうなったら、逃げられな いから、     コウナッタ ラ … ゲートを開けられない事を、自分から、 事務所で、大声で訴えて、残っている 誰かに、付き添ってもらえばイインデ ス              ネ? そうすれば、二人っきりじゃないから、 その人が邪魔で、所長は、私を捕まえ られないデスモノ        ネ。 『 ン! … 』って、  「 ...... 」 その時の所長の険しい顔ハ、       コワカッタノデスケレド。 「四日目」 今日で、私のこの現場は最終日。 朝礼後 「所長が『このままじゃァ、       気が済まない』って        云ってます」ッテ、 所長の下の人に云われたのですが、            「 ...... 」 でも、 そもそもそんな所長の " オアイテ ” は? 私の仕事じゃありませんケレド。     ...... イカガイタシマショウ なぜ、 コレに付き合わなければならないので しょう、勝手に、そう、決められてい るのも ?     ワカラナイデスシ。 だからこれは " キカナカッタコト ”              ニシマス。            「 ...... 」 ナニモイイカエセナイデスケレド … 所長との「かくれんぼ」も最終日、 なんで、 仕事以外にも、私にはやる事が増える んだか、いい迷惑だったのですケレド、              ここまで、 直接、 所長からはお咎めの言葉もナク、 私からは、 所長には近づかないので、あと少し で、このゴタゴタからも解放されます。      現場が変われば、 この所長とも、終わりデス。 けれど、朝、 仮設事務所のプレハブから一歩           外に出ると、 「・・・・・」    「 ...... 」 10メートル程離れた ところに所長は立っていたのデス。 「・・・・・」    「 ...... 」 私の仕事は竣工検査のチェック隊、 図面通りに出来ていない処の洗い 出しの、       仕事デス。 この程度の作業に、 ワザワザ所長から担当の者に直接 指示が出される事は、ナイノデス。 「・・・・・」    「 ...... 」 だ・か・ら、所長が、 直接、仕事の指示を私になど出す 事なんて無いの、デ・ス・カ・ラ、 「・・・・・」    「 ...... 」 ここにワザワザ立たれていても、  私は、この所長を、無視しても、 良いのです。 なので、見えない 振りをして通り過ぎようと         シタノデスガ… 「いってらっしゃいませ」っと、      嫌味を言われたのです、 ふり向くと、所長はニヤニヤして いるのです、これから、今日一日、 「・・・・・」    「 ...... 」  イヤナヨカンシカシナイデス… また、 所長との  " かくれんぼ ”  が! 始まったのです。作業から作業の 移動に通路に出ると、その曲がり 角には、 「・・・・・」    「 ...... 」 所長が立っていて、 不気味に微笑みかけられるのデス。 … ニヤリ 「・・・・・」    「 ...... 」 " ドウシテ、  コノタイミングガワカルノ? ”  これが、20分ルールの、セイ… 作業シートの控えをとるために、 コピー室に入ると、所長が飛び           込んできて、 「・・・・・」    「 ...... 」 一緒にコピーの作業をするのです。     ......ナンデ、デ、ショウ? 昼休憩、 控室で食事をしていると、 「・・・・・」    「 ...... 」 所長は 食事をしないのに、目の前に座って、   ただ、ニコニコしているのです。 … ニコニコ 「・・・・・」    「 ...... 」            でも、ナニモ、ハナサナイ、デスヨ、          ワタシカラ、ハ! " なんで朝からずっと、  所長が笑顔を振りまいているのか、         ワカラナイデス...” こんなに、現場は広々としている 大規模な建設現場なのに、        ここでは、ずっと、 … ニコニコ 「・・・・・」    「 ...... 」 なので、" 窮屈 ” な、カンジが      マックスになってきて… … ニコニコ 「・・・・・」    「 ...... 」 でも、 あと半日、何も気になりませんと、   微笑み返しをシテオキマシタ …             ニコリ … …! 「・・・・・」    「 ...... 」        …" でもあと、半日、       ゼッタイ、ニゲキル!” ― フリーランスは自ら営業もしなければ ならないのです、この所長は、嫌でも、 この会社の他の仕事までなくなるのは、 やはり、        困るのデス。 そういう事情も、この 所長は、 「・・・・・」    「 ...... 」 ご存じなのデス。      「 あっ、そうそう!」            そうです! この会社の、今年の人事異動デハ、        ビックリシマシタ、 この所長、 " いきなり 部長 ”     に? 昇進サレマシタ ! 『 オメデトウゴザイマス!! 』 でも、残念デス、部長でしたら、 これからは、現場仕事ではなく、    デスクワークにナルノデ … 現場での 「 かくれんぼ 」は、もう、    デキナイノデスネ …           … ぷぷっ! でも、そんなに、 偉い人だとはワカリマセンデシタ。 … 本当に、   心から、お慶び申し上げます …                ― ❁ Ⅴ ❀✿❁❀ ✿ ……上司から、女性だからと、    ジャマにされる事は、         ありますか?…… … ここの店長、女嫌い!   だからって、ここまで   ヤナ奴だと思わなかった!   う!契約社員になれたのに… 「 ねえ、R' きいてよ。いま、  メガネって  結構安いの多いでしょ。それに、  メガネショップもあちこちあって、  一日外に 出てたら、一店くらい、  目にするじゃん。  そんなんでメガネって目が悪くなく  ても身近に感じない?だから最近、        メガネって面白いぃ!」 「 …でさ、ワタシ、さ、  視力、右が 0.4、左が 0.2  なんだけど、実は、メガネかけるの  止めたんだ。見えにくいけどさ。  慣れてくると、  車の運転もそのまんまだよ。  もともと  運転免許の条件についてないから  平気だし。これって、  普通ならメガネかけるでしょ。  でも、メガネショップで仕事してる   から、気づいちゃったんだけど…」 「 視力ってみんな自分の視力は○○  なんていえちゃうくらい当たり前に  使ってるけど、実はハッキリしない  ものなんだよね。  だってその日で違うもの、みえる力。  その日ごとに、目の疲れ方って違う  じゃない。だいたいが目が疲れてい      たら見えにくくなるじゃん 」 「 それに、環境でも変わっちゃうんだ  よね。  その場が明るくても暗くても見え方  違うし、外では太陽が出てる光の強  い昼間と、夜の外出の時にも見え方  って違うじゃん。だからどのコンデ  ィションでショップに行って視ても  らうのかでも、大げさだけど、           変わっちゃうの」 M'は、興奮したまま、 友人の R' に一方的に喋り続けていて、 余程ここに就職できたのが嬉しかった ようで… まだ、専門の知識は無いけれど、 若いから、 これからの期待値で、なんとかこの、 メガネ店に就職できた。 いまは、仕事を始めたばかり、で … なかなか会えない友だちと、は、 それでも、 話したくなっちゃったみたいで …         でもこれじゃぁ… 喋る方も、訊く方も      時間 ? は大丈夫なのか … 「 …デモネ働いててさバックヤードで  在庫の整理してると、製品になる前  の、フレームなんて箱に静かにお行  儀よく並んで入っていて、さ、  この子たち、  良い子で待ってるのね、早く店に並  べてあげたい。なんてカワイク思う           ときもあるんだ」 「 …そう、それに、カッコつけて、  服の胸にあるポケットにメガネを  引っ掛けてるとさ、前屈みになった  とき、すルッて、  メガネ落としちゃうじゃん。  そんで、レンズのほとんどがプラス  チックレンズだから傷がついちゃう。  気をつけてね。レンズ交換したり、  買い直しになっちゃうのも、           ショックだしね」  『 … ぁあ---!ちょっと! M'!     いい加減にしてよ!    アタシ仕事中だから切るよ!』 やっぱり話が長くて怒られて、     「 うん!ゴメン、またね!」 M' は、メガネの知識がまだ無いのに、 やっと、就職できたし、仕事が始まると、 今まで知らなかったメガネの事がだんだ ん詳しくなっていくのが、楽しくて、             嬉しそうで。 そんな気持ちが大きすぎて、相手の都合 も考えずに、自分の休憩時間に、     R' に電話しちゃったみたいで。 このメガネ店は大手のチェーン店で駅前 には、必ずあるくらい、店舗数も多く、 だから、それだけ、人員も必要なのか、 M' は一回の面接だけで就職できた。 けれど、面接したのは、横浜の本店で、 M' が配属になったのは違う店。M' は、 面接を担当していない店長の下で働く事 になり、 これが、 めちゃ?厄介!だったんです… メガネ店は、 アクセサリーも置いてある店があるくら い、貴重品を扱う店として、エレガント で、気品と、正統派の顔を持つ店が多く、 働くスタッフもキチンとしていて、 この店は、 気品と、上品さも店員に求められ、 身だしなみもマニュアルに、厳し、 く、基準が定められている。 髪の色は黒限定で長髪は一つの束ねる事。 前髪は眉毛のラインまで、それにユニフ ォームではなく個人で用意するスーツは 光沢のない生地で、派手過ぎない物。 これは毎日勤務するのだから何着も必要 になる。 M' には仕事がスタートしたばかりなの に、痛い出費で、 リクルートスーツ、      一着しか持っていないのに… それに、 意外な物にお金は掛かるようで … 配属になってから、云われ、た、 接客に必要な「ボールペン」は、 安い物は、許されなくて … お客様に安いボールペンを使って いただくのが失礼になるから、 との事。             なので、 「ポチッ」ってプラスチックの黒 いノック式のものはダメで、店長 チェックも入る。           でしたら? 必要経費で? 支給してほしいのに。 ボールペンも、あなどれなく、         高価な物は、 結構な価格なので、        まだ、初めての、 給料日前だし、それ知らないし、 M' はビックリで、 けれども M' は100円ショップで、 上品な花柄の物を見つけ、 まぁ、なんとか? そうとは、 気づかれず、店長チェックは それで大丈夫だったみたい。  それくらいかな、気にするのは… あ~ぁ、 仕事始めの初日に「 M' ちゃん、 カワイイカッコ、シスギナイデネ」 って、 M' は店長に云われたんでしたね。 そう、 この店では女性客を大事にしている ら ? ら、しいのです。 それがどうしてだか、は、 後程、分かるのですが...... でも気を遣うところもあるけれど、 まあ、 それくらい、善しとしないと、M' には、正社員さんと違って接客販売 の仕事なのに、 ノルマやペナルティもないし、まだ 若いんだから立ちっぱなしだけれど 良いんじゃないでしょうか、こんな にやる気があることだしね! あッ?…… また? 違う相手に、 電話?してます。 M' は、ホント、 メガネショップの 仕事が好きみたいです… 「 …ね、  お店の人に聞いたんだけど、  日本人って、3人に1人は  メガネやコンタクトレンズ       って、知ってた?」 「 ね、よーく、周りみてみて、  ほら、結構みんな      メガネしてるでしょ 」 「 あー!それに、メガネの人は、  1つじゃなくて、何個か  持ってる人が多いでしょ。  一度買いに来てくれたお客さん  が、また来てくれる可能性  高いもの。自分の接客次第で、  ご縁ができるもの。       やる気も出てくるの」 「 だからファッション感覚で、  これは 仕事用とか、  これは遊びに行く時とか、  その遊び先でも変えられる  ように、勧めたり、これは  車を運転する時とかの   シチュエーションでとか… 」 「 いろいろなところで活躍する  人には、その日毎に違うもので、            なんて… 」 「 うん!ワタシ、  そんな勧め方もしてるんだよね!」 まだ ? 長話しをしているみたい。でも、 この店の、休憩時間は、1 時間。 メガネは、 カジュアルメガネ、や、ビジネス用に、 フォーマル、老眼鏡など、 使い分けをされる方もいらっしゃるし、 対象は、お子様から、お年寄りまでの、 幅広い年齢層に対しての接客が必要で、 ここでのお仕事は商品知識の他にも、 いろいろな事に気を配る必要があり、 丁寧すぎる接客とか一寸気難しいところ もあるけれど、そんなとこも、M' は、                新鮮で、 単純な仕事じゃないから面白い。 そんな、 M' の熱い気持ちはまだまだ冷めず、 まぁ、働きだしたばかりで、 高揚した気持ちのまま なのかもしれませんが、 これでは… この後のお仕事でも … 空回りしなければ良いのですが … 「 あぁー、  でも、でも、あるあるは、さ、  お客さんが入りやすい様に、店、  入り口のドアはいつも開けっ放し  だから、開口部はエアカーテンに  なっているけれど、  テナントビルの中じゃなくて、  外に面してる、  ショップだと、  スーツ着用で夏は暑いし、    上に重ね着できないから、        冬は寒いらしいの。  外気温とほぼ一緒で。 だから、  気づくと、  エアコンの真下に居るんだよね…」 M' はチャッカリしてる。 でも、 店内のエアコンの風も強めで頭上から 真下に「ボー」と、吹き付けてくるの をダイレクトに受け止めるので、結局、 髪が乱れない様にどんなに暑い日で頭 がムレテモ、髪は「ガチッ」て、固め ている事が多く、 M' は、そこ、の、立ち位置はキープ! したいので、メガネを手にしてクロスで きれいに磨いてるフリをしながら、そこ から動かないでいい様に静かに頑張って                 いる。 そう、そう、 そんな店員さん、いますよね…    「 いらっしゃいませ、      何かお探しですか? 」 「 あの、学生なんですけど、  就活なんで…  リクルート用ってありますか?」 「 モチロンです。  よくご存じですね。  絶対に、お勉強用とは、   かえた方がいいですよ、  学生さん用とも違いますし 」 「 お仕事では、  お仕事先の、先方にも  失礼のない様に、  ソレナリノものを選ばれて、     身に着けませんと…」 「 就活の時から、  そこまで気になさって  おられますと、  お客様は、間違いなく、  他の方より、差が出ます 」 「 やっぱりですか、      そうですよね 」    「 はい、      どうぞ、こちらへ…」 「 よろしかったら、  お手に取られてご覧ください。  こちらに、いくつか、  おススメできるものがございます。  どうぞ、鏡もお使いになって、   ゆっくり、ご覧くださいませ!」 これ … ちゃんと、 接客ができている?… ま、接客センスが良い感じに出ていて、 すかさず、お客様におススメフレーム を手にしてもらい、鏡の前までご案内 もして …    「 へぇ~      こんなカンジなんですね 」 「 はい、こちらのフレームは、   レンズがスクエアカットに           なります 」        「 なるほどですね 」 ところが、突然、M' の背中越しから、 男性の静かな、穏やかな声がして、 この二人は、そこで話が止められ … 「 いらっしゃいませ。  お客様、失礼いたします 」  「 M' ちゃん、2番、入って下さい 」 30半ばの小太り店長が足音も立てずに、 いつの間にか M' に近寄って、 キタ。 …… アッ、びっくりした。ホント、   この人苦手だな、すごく神経質で、   プライド高くて、扱いにくい。   ナニ!よ、接客の邪魔までして、        ワタシの成績上げない?   つもりなの?    まったく… この店長は、M' の採用時に面接に立ち 会ってはいなくて、            だからなのか、 ここの他のスタッフとは違う扱いをす る事が、多いみたいで、それは、なぜ、 なのか、も、後程 … ただ、M' は本店で面接をしてもらい、 その時の担当はこの店長よりも、上、の、 者で、エリアマネージャーだったために、 この店長は、 仮に M 'に不満があっても? この採用に 関しては、意見できないようで… 「 ワタシこの店じゃなくて、本店で、  面接してもらって、この店長よりも  偉いエリアマネージャーに選ばれた  から!           なんか、  最初から、自分で選べなかったのが  気に食わないんだか、店長、なんか、           キツインダヨネ 」 せっかくガンバリを見せてた M' だった のに、店長に割り込まれてムクレテいる みたいで、 他のスタッフさんは、みんな? 優しいのに、この店長、だけは 、M' に、 意地悪ばかりしてくる!と、気にしてる。 「 これって、パワハラじゃん。  ワタシも店長の事嫌いだけど。  仕事じゃん、頑張ってるのに、      やりにくいんだよね!」 でも、まったく、 これが初めての事ではなさそうで… 「 だいたい、このまえも、   店長なんて、       十分にオヤジのくせに、  老眼鏡を作りに来たお客さんには、 『 まだ、自分は若いですから、  知らないこともいっぱいあります 』  なんて訳の分からないアピールも  してて邪魔臭いし。  そんなのお客さんに失礼じゃん 」 愚痴り出したら止まらず … ま、ですが、こんなこと、 なさそうで、あるみたいで、 先ほど店長が云っていた「2番」は、 店の隠語で「食事休憩」を意味する らしく、 この店長は、M' がいつも最初に 休憩に入るように仕切るようで、 「 新人は、最初に休憩に入れ 」 との事らしく、 休憩は、ここの店の者は、一人ずつ、 順番に入っていき、一番目の M 'は、 開店から2時間ほどで、     1時間休憩になるのですが、 店は、 19時までなので、ここで休憩に、 入ったら、 その後の時間の方が長く、6時間 の、立ちっぱなしになり、        これが、毎日だと    辛いことになるのでは ?… ですから、 他の店では、決められた1時間休憩 を、分けて、40分20分に、したり、 30分30分にしたりと、         工夫しているのに、 この店長は、 それをしないみたいで、 そうです、少し、 融通も、利かない、みたいです。 「 はい、店長、  ありがとうございます。  最初で申し訳ない  ですけど、2番入ります 」  「 はい、   行ってらっしゃいませ 」  「 行ってらっしゃいませ 」  「 行ってらっしゃいませ 」  「 行ってらっしゃいませ 」  「 行ってらっしゃいませ 」 …… コレダヨ、この店、    みんなでイチイチ    返事するんだよね …… 「 この時間、  お腹が空いてると、      この雰囲気で、  頭に出てくるのは、  わりとよく往く店の、  元気の良い居酒屋さん  みたいじゃない?アッ、  今日も行こうかなぁ~ 」 …トボトボトボ… 「 まあイイけど、店長が、  それで良いんだったらね。   店長の店、ダ・カ・ラ 」        …トボトボトボ… この店の、スタッフさんは、M' 以外、 皆、正社員さんで、朝、店に9時に出勤 なので、その前には、もう店には居て… そこから、ずぅーと、立ちっぱなし。 M' は、10時からこの店に入るのに… それなのに? 最初に M'が休憩に入れられる。 これ … どちらも ? 可哀相に … その、この店の、 店長以外のスタッフさんは、 あの、 ジャニ〇ズにも負けないイケメンで、 体型だって、パーフェクトな人たち。 お金もかかってるスーツ姿も、 それぞれ、センス良く、 服に負けずに着こなし、みんな 似合っていて、 モデルさんみたいに 凄く、良いカンジを出していて、 M' は、その中で、ただ一人の女子。 この店で一番年下の若い M' でも、 ニヤケテしまう程、で! このイケメンを揃えたのは、 この店の、店長 … 「 スゴイヨ!  行ったことないけど、  ホストクラブも、      このメンバーで?  できちゃうんじゃないかな 」 … らしいです。 その接客もやはりソフトに上品で、お客 様への接客では、 店内のご案内に紳士的なエスコートも? 加え、商品説明だけではなく、     スマートな会話も楽しめます。 が? この店長の創った店の特徴で! そんな方々は、 新人の M' にも優しいのです。 で・す・が、 そこにも、この店長の目はいき、 なにかと?邪魔をされ? ( M'は、お客様ではないので?) なかなかスタッフさんたちと、   仲良しになれないようです… 「 店長って、  そっちなんじゃないのとか、  思っちゃうくらいだよ。  自分で選んだスタッフ、  イケメンのばかりじゃん。  珍しいよねこの店、  女子は、いないんだよね… 」 …トボトボトボ… 「 ちょっと、  店長以外のスタッフさんと  喋ってたときだって、  いつも、    毎回?  わざわざ間に入って、  用事、云い付ける、の、  止めてほしいんですけど 」        …トボトボトボ… なるほどね … あぁーあ、休憩もそろそろ終わりです。 ここで、トイレに行っておかないと、 大変。 女子、独りなのに、トイレに、行きたく なったら、他のスタッフさんたちの前で、 「3番入ります」って言わなきゃいけな くなるのですが … そうしたらまた、皆さんから、 「行ってらっしゃいませ」の店内コール になってしまうので、ぜったい回避した 方が身のため、 それに、これではそのうち、 トイレを我慢して、 病気にならないかも心配 … この店の… 店内にはトイレが一つだけで、お客様は、 女性でも男性でも、ご使用になりますが、 M' は、そのトイレが女子が独りなので、 恥ずかしくって使えなくて、  なので、 昼休憩に、外に出て、済ませてから戻る。 「 ただいま戻りました。    ありがとうございました 」 「 お帰りなさいませ 」 「 お帰りなさいませ 」 「 お帰りなさいませ」 「 お帰りなさいませ 」 「 M' ちゃん、じゃあ、   駅頭で、ティッシュ、     一箱お願いします 」  ……えー、   さっそくだよ、まったく…… 本当に、M' には厳しい店長で!  「 はい、店長。    行ってきます …」 ここは、 東横線とJRが交じっている、 武蔵小杉駅の前にある店。 駅周辺にはいくつもタワーマンションが 立ち並び、大型商業施設には他と比べて もおしゃれな店がいっぱい入っていて、 今日も駅前は人通りが多いけれど、 こんな暑い日に ? M' はなんで駅頭に ? 容赦なく行かなければならないのか? しかも、ゴゴイチで、は、めちゃめちゃ 暑いのに、        気の毒に… 「 ふん、まあ、いっか!   実は、ティッシュ渡すの、   く! 得意なんだよね。    ふふっ、まあミテテヨ 」 M' は、ポジティブな娘 … … さてと、 駅前に来たら、改札口から 少し離れて、 駅の敷地内に入らないようにするのは 決まりごと。 そして駅に向かって立って … 先ずは、ティシュの箱は足元に置くのね。 そう、これで素早く、手に補充できる様 にするのね … 「 ここで、皆良くやるんだけど、            大声で、 『 ○○です、  ティッシュいかがですか? 』  なんて、声はデカいんだけど、  ティッシュは自分の体近くに    しっかり抱えてるでしょ 」 「 それじゃあ、  通行している人に  手を伸ばさせちゃうでしょ。  そんなの、  ちょっと図々しいおばさん、  位しか手を出せない、しょ、  だからね、ここでね!   テクニック出しちゃうの 」 … ほう、ほう … 「 あのね、まず、  掛け声はそんなに大きく  出さないの。だって、  ティッシュに  チラシ入ってるし、  いいじゃんそんなの。  そのほうが、      疲れないしね 」 「 それに、ここ!  大事にしてるんだけど、  この店に興味がなくて  スルーされることも       ないでしょ 」 「 だって、それっ、  どんな人がお客さんに  なるのか、今だけじゃ、  分からないんだから、  自分が、メガネ、  かけてない人でも、  お家まで持って行って     欲しいんだよね 」 「 同居の人がお客さんに  なるかもしれないしね。  ワタシは、そこまで   考えているんだよね!」 … なるほど … 「 そんで、営業用スマイルで、  ティッシュを持った手を    おもいっきり伸ばして、  通行している人の、        右手の親指と、  人差し指の間に、  リレー競争のバトンを         渡すように、 『 はい、どうぞ 』って  ティッシュ挟んじゃうの。  そうすると、しっかり  それ!握っちゃうからね!」 … そうですか … 「 そんで『 えっ、何ですか?』  なんて、聞かれることも         あるんだけど、  そんな時には、 『 メガネショップ○○です。  どうぞ、お使いくださいませ 』  って、30度でお辞儀するの。    これ、100%成功するよ!」 「 だって、     自分でいうのもだけど、 『 読モ 』よりは上のカンジで  ワタシ、カワイイの。だから、  男の人が受け取った時とか、 『 どこの店にいるの? 』  なんて、  よく聞かれるし、  店に戻ると、   『 やっぱり、いたー 』  なんて、  会いに来てくれる人もいるの 」 …うん!店に戻ったら、接客、       増えそうな気がする … 凄い自信。 でも、ウソみたいでも、 これで、ほんの20分で1箱配り 終わっちゃって、   だから、 駅前の交通整理のガードマンさん にも怒られたことないみたいで … このお仕事、バイトされる方の、 参考になりますでしょうか ? くれぐれも、 その時の状況にご注意下さいませ。 M' は、 ティッシュ配りオンリーのバイトで も、     活躍できそうです … 「 シフトの空いてる日に、   チャレンジ     しちゃおうかなぁ 」 などと? 考えているようです。   「 あーあ、暑かった。   ダンボールの空き箱たたんで、      さっさと、店帰ろうっと 」        …スタスタスタ… M' は、 そそくさと、駅頭から撤退しました。 「 あれれ? お帰り。   M' ちゃん …  今日も速かったけど、  ちゃんと配ってるの? 」 … げ! 店長ったら、コレダヨ、           白々しい… … ふん!ワタシのことは、     信用してないから、  ティッシュ配りのとき、         わざわざ、  チェックしに来るくせに。  さっきだっていたじゃん。  店長視てるの知ってるし、          ヤナ奴… 「 はい、    ただいま戻りました。  今日は、暑い日ですけど、  人、いっぱいでしたよ。  店長、どうしましょう、  もう少し、配ってきた方が        良いですか?」  「 うん、そうだねぇ!    どうしようかなぁ…」 …… え~ そんなぁ~ …… … 何なのこの人、        パワハラ、  どころじゃないじゃん。   今日は、外、何度か   知ってるのかなぁ…… 余計な一言を謂わなければ良いのに、 口は災いの … などとも云います。 せっかく、 M' が効率よくいろいろ工夫しながら 仕事してるのに ? これでもかって くらい、次から次から、仕掛けて? くるんですねこの店長さんは、              でも … ……あれー、なんか、いま、 爽やかな風が吹いてきたように 感じたけれど、 ライトなムスク系のコロンの 香りかな… これ、涼しいなぁー… 「 おっ、M' ちゃん、お疲れさん。  M' ちゃん、カワイイから、  通行の人、  絶対受け取ってくれるでしょう。         うらやましいなぁ 」 「 でも、今日は、とくに暑いから、   店長、今日は、   M' ちゃん、もう、良いですよね」  ……あーっ、深瀬さん、優しいなぁ、 … いつも、なんか、   守ってもらってる気がするゥ… この深瀬さんは大学の時、アメリカ留学 経験もあるそうで、この店には必要な人。 武蔵小杉にあるこの店、 ここは、都心までの交通の便が良いだけ じゃなくて、遊歩道もある多摩川も近く て、緑の多い大きな公園も有り、生活に 必要な公共施設も揃ってる便利なところ。 だから、 マンションがいっぱい増えるのも 分かるし、ソコにいっぱい人が移り 住んできて、 このエリアの、川崎は、もともと、 近くに、富○通、N○C、キャ○ン、 東○って、大手のメーカーも集まっ ていて、 そこで働いてたり研修に来る海外の エリートさんも結構いるみたいで、 深瀬さんのように英語ができる人は、 海外の方が店に来る場合を考えれば、 とても、頼もしく、必要な存在。 その、「接客力」も深瀬さんの武器 になっていて、             ですから、 この店長にも、 意見できる。 ……ね、深瀬さんには、   店長なんかより、よっぽど    早く偉くなってほしいな…… 「 深瀬さん、   ありがとうございます。   何かお手伝いできる事、       有りますか? 」 「 じゃあ、  明日のチラシに出る商品、  今日のうちに、  入り口近くに並べて  くれるかな?  今日中でいいから、  なんか、  冷たいもの飲んでから、    ゆっくり始めなさい 」 「 はい、   ありがとうございます 」 …… やったー また休憩じゃん。 深瀬さん大好き! 如何しよう、 ほんと、癒される。なんで、 同じ男なのに ? ん!  店長とは、この、差 ! だよ……  どうしよ!    ムフ!  嬉しいのが顔に出ちゃうよ。  いけない、気を付けなきゃ、  深瀬さん大人なのに、  そんなんじゃあ、ワタシ、  子供で、恥ずかしいじゃん。 クールダウンして 落ち着かなきゃ。そうだ、 時々、心配してくれて? エリアマネージャー     電話くれるけど、  深瀬さんの事いっぱい  売り込んじゃおうっと、  まあ、  店長の悪口は  ワザワザ言わないけど。 深瀬さんに、 良くしてもらってるって 言ったら、 エリアマネージャーも、 きっと、 気に留めてくれるもん。…… 「 深瀬さん…、  ワタシ陰ながら応援する女です」           なんてね… かなりの 妄想劇が繰り広げられています が、   苦手な店長が居ても、 この深瀬さんのお陰で、M' は 頑張っていけそう …                ― ❁ Ⅵ ❀✿❁❀ ✿ ……R' の仕事場は、大丈夫?…… 先ほど、 M' の長話しにつきあわされていた R' は、スーパーで働いている。 ウエストが、 わからない ? 青と、白のストライプの 割烹着?みたいなユニフォームを着て。 週4日、 1日おきのシフトで仕事に入る。 「 聞いてよ、だって、ウチ  のスーパーは全国規模の  大手スーパーじゃないから、  働く従業員少ないじゃん。  だから、フル稼働で、  仕事効率考えてます!って  カンジで、これ!その日に  好きな作業を選べるんだよ」 「 毎回、  仕事の全部がレジばかりじゃ  8時間立ちっぱ!で  足がパンパンでイヤだけど、  惣菜やったり野菜カットで?  してさ、オールマイティーに  頑張ってるフリ ?       するんだよね … 」 確かに、 その時々で違う仕事に入って、 調理の手伝いや、ラッピング、 パック詰めとか、 上半身だけ動くレジより、 からだ全体が動かせる作業は? 意外に疲れないのかもしれない。 「 …で、丸かったり、小さかったり  する形でも、ラップ、上手くできる  ようになったけど、家でもフツウに  ラップって使うじゃん、楽勝だね。     今度、神、技みせちゃうよ 」 そう、やった事が、ある人と無い人では、 それに違いはでるでしょう。そのくらい、 ラップはその大きさ、幅はアッカン! 業務用のモノは、初めて見ると感動する。 それにここの仕事は、スタッフが少人数 なので、多種多様、バックヤードは、   事務の電話対応とか座り仕事もある。 「 そんで、おなかすいたら、  惣菜とか、ちょっと味見で  食べちゃうし、そう、  野菜はともかくフルーツを  カットしてたら、結構高い  フルーツも食べれちゃうし。  これ買うの、手、出ないし。     だって高いんだから 」 それは如何なものかと … 「 ねっ、結構さぁ、  こんなカンジで自由だから     ストレスたまんない … 」 R' のここの給料は、時給の一番高い、 レジで採用になったので、1,100円で 計算されて、 土日祝日は時給プラス100~200円で、 あとは、17時以降もプラス150円。 「 それに、  惣菜のパートのおばちゃん  なんて、『あんた、  しっかり食べてるの』なんて、  自分の子供のように心配して、  休憩中になんだかんだ毎回さぁ、  食べるもの持ってきてくれるし 」 ここは、スタッフ達は、幅の広い年齢層 で構成されていて、ここでのお付き合い は、世間が広くなる。 仕事に出ていると1日3食でも、そんな、 カンジで、全部、済んじゃうことも有る。 仕事上がりにも、売り場担当にちょっと 声をかけて、 お得にゲットできるモノもある。 大手スーパーだったら、従業員出入り口 に、ガードマンチェックがあって、 入場・退場管理の際、カバンの中まで 見せなければならないけれど、何せ、 ここは、地域密着のローカルなスーパー で、そんなことないみたいだ。 いま R' は働いて6か月目。 有休が付くと、店長から聞た様で、 それが嬉しくて M' とも、職場の自慢話に花が咲く。 店長もR'には優しいから、 この前も立ち仕事が長くてシンドソウに していたら、「事務、手伝って」って、 バックヤードに呼ばれて、そのまま事務 仕事しようとしたら「良いよ休んでて」 って、云われて、      ただ椅子に座っていたりして。 時々、モニターチェックで店内を観たり しただけでも、休憩じゃないから時給も ちゃんといただくしね。いいじゃない、 この店長とのカンジ。それに、 この店はR’の自宅からも近くて、家族も 普通に買い物に来るし、このまえも母親 が魚売場で刺身を探していたりして… 「 鮮魚の社員のおじさんにお母さん  紹介したら、おじさん、黙って、  尾頭付き、姿づくり?のお刺身、  豪勢なやつを、お皿に盛りつけて、  作ってくれたの。あれ、5千円   以上するってお母さん驚いてた 」  みんなで仲良くしてるみたい…… けれど、このお仕事は、 その店長次第ではパートでも、 天国と地獄ほど、 仕事の待遇が変わるらしい。 この店では運よく? そんなこともなく、仲間意識?で、 皆、結束も強いようだ。それに… R' はこれから結婚するかもしれない。 大切な人のために料理を作る かも ... その時に、 役立つ事にもなる、技 ? も身に着く。 ここで働くと … 肉のカット作業では、牛・豚・鳥のそ れぞれの部位についての違いや、その 良し悪しも、分かってくるし、 魚も「三枚おろし」とか、そんな? に難しくなくできちゃうようになる。 「 こんにちは、   いらっしゃいませ !」 ……さてと、   今日は何の仕事に入ろうかな、       今日は、雨 …… 「 おっ、R' ちゃん、  お疲れさま。雨なのに、  今日も爽やかに、いい笑顔だね 」 「 店長、お疲れ様です。   今日も元気に頑張ります。    よろしくお願いします 」 …… でも今日はムシムシするなあ、    あーあ、    しかもなんかノボセルなぁ、    あれ ? 鼻血 ? 出ちゃった ?    ヤダ … 恥ずかしいじゃん……  「 R' ちゃん、大丈夫、         何したの?」  「 あ、大丈夫です。       のぼせたのかなぁ、   岸田さん、 スミマセン!   ちょっと外れて良いですか? 」  「 ええ、大丈夫よ。    若い子はすぐ鼻血出るものね、    事務所で少し静かにしてなよ 」  「 ありがとうございます。     よろしくお願いします 」 岸田さんは、R' のお母さんくらい? の人、 レジ担当のパートさんでとても頼り になる、     何でもできる人。 「 鼻血止めるのに    冷やさなくっちゃ 」 「 R' ちゃん、何、それ、鼻血?   大変だよね、女の子は、  上からも下からも出血なんてね 」 「 店長、それ!  セクハラですけど。  ちょっと、そこ、ドイテクダサイ。      クーラーの下がいいから!」       「 はい、はい… 」 「 ああ、そうだね、  じゃあ、少し留守番しててね、    俺は、レジ入ってくるから 」  …… やったー、一人じゃん。  しばらく、鼻血だしとコ。  涼しいしね、ここは。  30分くらいは、  このままで大丈夫だよね。 店長鋭いよね、ほんと、 今日は2日目だから、 実は、クラクラするんだよね。 貧血だよ。これで、も、    今日は上がろうかなぁ… 「 R’ちゃん、大丈夫、   あとで野菜手伝ってよ 」 …… ああ、笹さんだ。    いいタイミングだね。    しかし、    良くチェックしてるよね、    何でも知ってるね、あの人は。           コワイコワイ… 「 はーい、   鼻血が止まったら行きまーす 」 …… サテト、そろそろ行かないと、 でも、野菜売り場は、 ホントはあまり 好きじゃないんだよね。 だってさぁ、野菜って 重い物多いし。 キャベツとか芋類とか、 箱に入ってると、 めちゃ重、運びたくない。  まあ、今日は,  こんなんだから、  品出しはしなくて良いと  思うんだけどね。  お願いしますよ、笹さん…… 「 遅くなりましたぁ、   笹さん、   お疲れ様です!」     「 大丈夫?  あんまり、アソコ、  休めないと思ってさ。  ここは、涼しいし、  ゆっくりしようよ、店長、    レジ入ったんでしょ?」  「はい…」 「 ね!呼んだだけ、よ、  大丈夫。急ぎじゃないから、  ゆっくりで良いんだけど、    レタス、切ってくれる? 」 「はい…」 「 んじゃ!  レタスの外葉、2枚はがして、  芯を100円くらいの大きさの  あたりで切ってね。       急ぎじゃないからね 」 「 はい… ありがと - ございます。   笹さん優しいですぅ。     ここの方がうれしいです 」 「 そうよ、  岸田さんと一緒じゃあね、  あまり、  休ませてもらえないでしょ。  … あの人、あんなんだからさ 」 「 ほんとですよね。   笹さん、ダイスキぃー 」 R' は白々しくパートのおばさんに 抱き着いて、はしゃげるタイプだ。 「 はいはい、   ジャア、お願いね 」 笹さんは、この店に10年以上も 勤めているベテランパート。 店長は、 笹さんより後から配属になったし、 実際、 この店の仕事を開店から閉店まで、 一通り何でもできるのは、笹さん だけだから、 店長は意見できない。 店長にしてみたら目の上のたん瘤 だろう、 笹さんは、 パワフルだしやりたい放題だもの。 「 R' ちゃん、何?    鼻血? 若いね、   いくつだっけ、いま 」 おっ、ポロシャツが似合いそうな、 がっちり肩幅の、短髪男の森田さん。 この人はカッコよくて、ま、好きな人。 だけど、    マジメ感が強すぎる。 休日に、フットサルばっかりって… でも、メンバーどんな人たちかなって、      ちょっと、気になってて… 「 お疲れ様です。そうですよ、  若いですから! まだね。  森田さん、いくつなんですか? 」 「 俺? 27だけど 」 …… へぇー、イイカンジ。 森田さん、主任だもんね。 ちょい上かぁ、 なら、イマノウチ、 からんでおこうかな…… 「 そうなんですね~、  あれ? 森田さんて、  フットサル  やってるんですよね! 」 「 おー、   仲間とね、大学時代の 」 「 へぇー、じゃあ、今度、   友達と行っても良いですか?     めちゃカワイイですよ 」 「 本当? おいでよ、   水曜日の夜だけど、   大丈夫なら。   みんなも喜ぶよ!     女子少ないから 」 「 はい、   ゼッタイ、行きます! 」 「 わかった。じゃあ、      後で連絡する 」   「 あと、レタスなんだけど、  2箱分、切っといて。  そこに運んできたやつ、      置いといたから 」   「 はい、     ありがとうございます 」 …… まあ、いっか、今週、暇だし、 水曜日が休のコトミでも 連れてくか、 他にもいい男、 いるかもしれないし、 さらっと、 観に行っとくかなぁ。    さ・て・と、そろそろ、 店長と代わらないと。 やばいじゃん。もう、 18時30分過ぎだから、 取り敢えず急ぐか。  そろそろ、  レジの中間締めの  時間になっちゃうし。  でも、もう、  レジの混まない  時間にはなったよね ……  「 店長、    ありがとうございました」  「 おう、大丈夫か?」     「 はい、       止まりましたから 」  「 店長、さっき、ちょっと、          店のことで、   考えたこと、有るんですけど 」  「 おいおい! 何?     まさか、レジが嫌だとか?」   「 違いますよ、ぜんぜん。    あのぅ、この店って、    あんまり、    試食コーナー無いですよね。    でも、結構、店で、    廃棄になるもの、       多いじゃないですか 」 「 だから、  賞味期限日になる前に、  近づいた商品を試食に  出したら、良くないですか? 」  「 それに、各売り場に、  必ず一か所は、  試食コーナーを作るんです。  鮮魚、精肉、  惣菜だけじゃなくて。  お菓子、飲料、乳製品、  調味料なんて、       細かいとこまで 」 「 あっ、  時間差にしてもいいかな。  11時は、青果コーナー、  12時は、惣菜コーナー、  13時は、鮮魚コーナーとか 」 「 そしたら、毎日、お客さん、   その、目当ての時間に、   来るようになるかも。で、   店の混む時間帯も、     変わるかもしれないし 」 「 廃棄処分も減るし、   販売促進にもなるし。   そこに、レシピとか、   食器もカワイク置いて、  ディスプレイしても善いし... 」 「 おっ、R' ちゃん如何した。  なんか、  今日はマジメじゃないか。  そうだな、  君の考えをきけて良かったよ。       参考にさせてもらう 」   「 そうだ、今度、  販売促進会議にも出てみるか?   そろそろ、長く続けるか、        考えてみなさい 」   「 はい、店長。     ありがとうございます。         考えときます 」 「 なんだそれ、上からか?   そ・こ・は、   ありがとうございます。   よろしくお願いします。          だろ…… 」       「 いえ、いえ、          考えときます 」 R' は、丁寧にお辞儀をした。 … 店長とは真面目な話もできるって       分かったけどここの店… 仕事中に、 トイレに行きにくいんだよね … これって、実は、大問題なんだけど、 若い子いないとさぁ、        分かんないのかなぁ…      女性は、ハラスメントとも          闘っているし……       仕事にやる気があっても…         職場環境も大事です。
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