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佳子は何から脱出し、何に成れるのだろうと、ぼんやりと風景を眺めていた。
家に近づいていく。
それは安心感よりも、挫折感だった。
仕事に対する甘さ、挫折、未熟。
何にもなれず、成り上がれない十八歳だ、と自覚した。
佳子はスマートフォンのカレンダーに記入していた9月10日までのスケジュールを消した。
佳子はふと思い出し、「ユリノキ」について調べた。
まおみが誕生花と言っていた花。初めて聞いた名前だった。
《ユリノキ 8月17日の誕生花 …花言葉は「幸福」など》
佳子はスマートフォンで、もう一度今日の日付を確認した。
やはり、今日が8月17日だった。
まおみの誕生日だったのだ。
花言葉など調べたのは初めてだったが、ついでに、9月10日の花を調べてみた。
まるで占いをするかのような軽い気持ちで検索した。
《シユウカイドウ……花言葉は「未熟」》
佳子はうつらうつらと居眠りをした。
目を覚ますと、つい一週間前に出発したはずの新宿駅の賑わいが、懐かしかった。
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