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わたしは柔らかなロミオの身体を抱いていた。しっとりとした肌のふわっとした胸の膨らみに顔を埋める。ピンク色のその先端を口に含み、もう一方のソレを手のひらで包んで揉む。ロミオの身体が女性と同じでも、全く気にならなかった。
「ああ……、ジュリアっ……」
ロミオの甘え泣くような声。
「ロミオ、気持ちいい?」
ロミオの胸の膨らみの下の筋肉質の腹筋がギュッと引き締まる。わたしはロミオのお臍に舌を這わせる。
「ああっ、んん……」
その度に、ロミオの腹筋が緩んでは引き締まる。男の子のようなモノのない下腹はまばらな茂みがタマゴ型に形作っていた。
わたしは毛づくろいをするようにロミオの柔らかな茂みを指の先で弄り、唇で啄んだ。ロミオ筋肉質で長い脚の膝を曲げ、Mの形に開く。と、両脚の間には赤味がかったふっくら柔らかそうなハート型の女の子の場所があった。しっとりとした砂糖細工でこしらえたように滑らかなそこに唇を当て、指先で左右に開いた。
「ああ……ジュリア……きみは恐れないのか。僕が……、僕の……」
「だって、ここは、男も女もないんでしょ?」
ロミオの筋のようなそこから樹液が湧く。キラキラとロミオのそこが潤ってくる。わたしはそれを舌先で丹念に舐め取ってゆく。
わたしはロミオの背中に手を回す。強くハグした。
「ジュリア、背中……背中は止めてくれっ……」
ロミオは珍しく大きな声を出した。
「ああ、ごめんなさい。ごめんなさい」
わたしはロミオに何度も謝った。
「僕もごめん。きみに大きな声を出してしまったね。お詫びに僕も……」
ロミオの唇にわたしの唇が塞がれる。彼の舌がクルクルと私の舌に絡みつく。
「ああ、ん……」
泡立つロミオの唾液を喉を鳴らして飲み干す。
お腹を熱い何かが押す。
それを確かめようと、そこに手を伸ばす。
ドックンドックンと息づくそれが、グンと背伸びした。
男の子の大きくなったモノが、わたしのお腹をグイっと押していた。
「えっ、何で……?」
「ここは男も女もない、って言ったよね?」
「わたしをどうするつもりなの?」
バサバサとロミオの背中から空気をかくような羽根の音が聞こえた。長い髭のある馬のような顔、蛇のように鱗に覆われたその身体の背中にあるコウモリのような大きな羽根を羽ばたかせた。ドラゴンになったロミオがゴウゴウ風を起こしてわたしの周りをグルグルと回り始める。
「僕の子孫を残したい。僕らは子孫が残せないんだ」
きらびやかなその部屋は暗黒のように変わって上も下もない世界に変わっていた。稲妻がガラス細工にヒビが入ってゆくように、爆音を上げながら、四方八方に広がる。焼けるような、赤く染まった空間がわたしの周りをグルグルと回る。
わたしの上のドラゴンになったロミオが一気に昇る。と、一気に降りてきてわたしの身体を取り巻く。ゴウゴウという風に身体が包まれる。細く長い舌に身体をクルクルと舐められる。
「きみは恐れないのか。僕を……。こんな姿の僕を……」
「怖い訳がないわ」
「これでも……?」
ドラゴンの身体が炎に変わってゆく。赤く染まった空間がスクリーンのようになる。ゴロゴロと無数の白骨、無数の髑髏がドロドロ焼けるように赤い空間に散らばっている場面がスクリーンに浮かび上がる。
膝がガクガクと震えた。
今度は炎に包まれた。バリバリと音を立てて、降り注ぐ火の粉に包まれる。気がつくと、わたしの足元は火の海に変わっていた。
「怖くないのか?」
「怖いに決まってるわ。ずっと膝が震えているもの」
「じゃあ、泣き慄かないんだ。なぜ……」
「なぜ、って……? それは、どんな姿でもロミオ、あなただから……」
「愚かなやつ……」
足元の炎が空間に吸い込まれる。真っ赤に焼けていた空間にあの天蓋付きのベッドが浮かび上がる。
そこには端正な顔つきのロミオが全裸で横たわっていた。
わたしもロミオの横に並んで寝転ぶ。
「……済まない……ジュリア……」
「わたし、いいわ。ロミオ、あなたの子孫を産めと言うのなら、それでいいと思ってるの」
ロミオの下腹に唇を当てた。ロミオのうなだれたそこがグンと天を仰ぐ。わたしはロミオのそれに唇を当て、先端から大きなそれを含んでゆく。ロミオのそれをゆっくり跨いだ。体重を掛けて、ゆっくり腰を下ろす。お腹の中がロミオに満たされる。
ロミオとのそれはすぐに終わった。
「ジュリア、きみは僕らの勇者だ。僕と旅をしてくれないか?」
ロミオは七色に光る剣をわたしに手渡した。
「ロミオ、嬉しいけど、わたし、帰らなきゃ」
わたしは剣をロミオに返す。
「……そうか」
と、残念そうにロミオはわたしに背を向けたあと、ドンと剣を床に突き立てた。
ゴオと地鳴りを上げながら、地面にヒビが入ってゆくように。蜘蛛の巣のようにヒビ割れたそれは編み目のように小さくなってバラバラと落ちる。
「ジュリア、済まない」
天蓋付きベッドは消え、わたしは真っ暗な空間に落ちた。
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ザワザワという人の声。紙の匂い。わたしが見ていたあの本の表紙が閉じた。
「あ、わたし……」
あの本屋さんのアダルトの棚の前にいた。
その本の表紙を指で摘む。そこには一人で横たわった裸のロミオの姿があった。
おわり
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