イラストの中の不思議な場所に落ちた。

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イラストの中の不思議な場所に落ちた。

 わたしは友梨奈。高校二年生のわたしは、本好きのお父さんと一緒に近所の本屋に行っていた。    お父さんが行くのはコンピューターの雑誌。わたしも適当に中学生向けのコーナにある本を物色し、飽きた頃にお父さんの横でお父さんが読み終えるのを待つ。手元にある本をゴソゴソと捲る。    中二のわたしの身体に衝撃が起こった。    コンピューターのコーナの横にあった小さな棚はアダルトの棚。周りを気にしながら、そこに平積みしてあった分厚い本の表紙を指で摘まむ。その最初のページのイラストに、有名なTという歌劇団に出てくるようなキレイな女の人たちが裸で抱き合っている姿があったからだ。金色に縁取られた紫色のカーテンのような天蓋のあるベッドの上で……。    わたしの身体の奥から溢れだした熱いものがパンツに広がって、腰をモジモジさせていると、「おい、トイレはレジの……」とお父さんに言われて、トイレに駆け込んだ。     ドキドキした。    小学二年生の頃からオナニーの経験はあったが、部屋以外というのは初めての経験。    パンツを脱いで股の部分を確認した。染み込んだ透明な水ノリのような粘りがドーナツのようにベットリと貼り付いていた。わたしはそれをトイレットペーパーで拭き取って丸めて捨てた。    本屋の静かなトイレの中で、わたしは自分のアソコに指を這わせる。イケないことをしてる自分の姿に興奮していた。ニチャニチャ、という蜂蜜が混ざるような音が個室の中に広がる。   「あ……、んんう……」    指先で敏感な蕾に粘りを絡め、コリっとした感覚を楽しんだ。身体の奥の奥にキュンとする感じが貯まってゆく。初めての感覚に唇を噛んで耐えた。溢れる粘りを蕾に絡める。    キュンという感覚がキュ、キューという絞り出すような感覚に変わる。   「ああ……ん……ん……」    ガチャっと、個室の鍵が下りる音。    わたしは手のひらで口を押さえる。また、身体の奥のキューが強くなる。イクという感覚の経験はなかったが、光の中に浮き上がるような感覚。イクんだと思った。少し焦る。身体中に鳥肌が起つような感覚。掻きむしりたい衝動。固くなった乳首を指先で弄る。   「……っ、くぅ、うう……ん……っ、っくっ……うんっ……」    痙攣のようにキューという感じに息を飲んだ。子宮がため息をつくようにキュンキュンとしている。私は身体をくの字に曲げて耐えた。    息を整えて、トイレを出た。    :  :    次の日、一人でこっそりとあの書店に行った。どうしても、あのキレイな女の人に会いたくて、周りを気にしながら昨日見た本を手に取る。    本の最初のページにあるキレイな女の人たちが抱き合っている写真に目を奪われた。サラッとした長い髪の女の子が背が高くベリーショートヘアの男の子に包まれるようにハグされている。   「わあ……」    キラキラと七色の光と金色の星に身体が包まれて、わたしは眩しい光の中に落ちた。
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