死神と木乃伊

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「お前、最初から犯人が分かって……?」 「俺も、八重も、クロエの正体を知っているからな」 「え……?」 「城之内、文章って言うのは、口癖や仕草を持っている。他人のソレは分からずとも、家族には分かる」 「……家族?」  栄のその問いには答えずに、篠上はこれで事件は止まるだろう、と言った。 「あいつは負けたゲームを続けたりしない。その為に、八重を囮にして木乃伊を捕まえたんだからな」 「篠上……?」  大丈夫か、と声を掛けようとした栄は、篠上の顔にギョッとした。  寂しそうな眸は、中庭の緑を溶かした月光で、濡れている様に見える。    あいつは、俺と何を取り合っているんだろうな――――。  そう言った後の篠上は、いつもの様に口の端を上げて、生意気に笑う。  栄は月は出ているのに、自分の中に暗晦(あんかい)とした何かを覚えて、聞きたいことがあるはずなのに、口の中に閉じ込めた。
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