小学5年 の 憂鬱

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小学5年 の 憂鬱

 オヤジが学校の校医をしていたせいか、担任の深田先生は俺をエコヒイキしていた。深田先生は27歳で背が高くイケメンだった。女子はみな先生が大好きで休み時間になると先生の取り合いだった。だが先生は、すぐ俺の隣や向かいの空いてる席に座って俺にちょっかいかけてきた。 「またそんな難しい本読んで~。子どもなんだから子どもらしい本読んだらいいのに」 と言いながら俺の読んでる本を取り上げて 「ほい!コレ読んでみな…」 と、古谷実の『行け!稲中卓球部』とか、ちばあきおの『キャプテン』とか、先生が気に入っているらしい漫画を押し付けてくる。  女子は先生に気に入られたい一心で 「わぁー面白そう!読み終わったら次、私に貸して~」 「西くんばっかズルーい!センセ、私にも本貸して~」 などと勝手に俺の周りで大騒ぎして、俺は何もしていないのに先生のせいで騒ぎの渦に巻き込まれる。たまに、ならいい。だが先生は毎日のように、俺をかまい続ける。
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