小学5年 の 憂鬱

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 それだけじゃない。授業中、俺が堂々と先生に押し付けられた漫画を読んでいても何も言わないのに、他の子どもが窓の外を眺めているだけで先生は厳しく叱る。ソイツが 「西くんは漫画読んでるのに…なんで叱られないんですか?」 などと口答えしようものなら、深田先生は真っ赤になって 「おまえと西は違うんだ。西はもう小学校の勉強なんか、とっくに終わらせてる。おまえが窓の外見ていたかったら全教科100点取ってみるんだな。」 などとまくし立てる。  先生の、そういうイヤミな発言が続き、俺はクラスメイトと自然に打ち解けることが難しくなっていった。話しかけてくれる友だちはいたが、俺自身の心に結界ができてしまっていた。俺は最低必要な会話以外、発言する気がなくなっていた。  そんな時、深田先生は、また、とんでもないことを言い出した。朝のHRで先生はこう言った。 「今日の6時間目のロングホームルームでは、ワタナベくんについて話し合います。ワタナベくんが不潔にしているせいで、臭いとかキモいとか言う人がいます。そのことについて、みんな、6時間目まで、よく考えておくように。」
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