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「これは?」
スクロールし、届いたばかりの写真を見せる。特徴的なせいか、こちらも直ぐに言い当てて見せた。
「チグリジア、もう暫くしたら咲くと思う」
新事実も一緒に。
「今時期の花じゃないんですか?」
「うん。確か、六月から八月くらいじゃなかったっけ」
送られていたものは、撮影された写真ではなかったらしい。確かに、出来映えが良すぎるとは思っていたが。
庭の印象から、勝手に撮っているものだと思っていた。だが、これで完全に選択の上、送られたと断言できる。
やはり、何か意味を込めていたのだ。
「ありがとうございました。あとは携帯で調べます」
踵を返す。アプリを切り替え、検索ツールを出した。廊下を歩きながら、検索ワードを入力する。
これで、隠された何かが分かるはずだ。
"ゴジアオイ 花言葉"
――表示された結果に、驚愕が隠せない。あまりに率直な花言葉に声も出なかった。
続けてもう一つも検索する。表れた文字に、じわりと手汗が滲んだ。
擦れ違う教員の注意も無視し、走る。校門を飛び出し、香澄の家へと駆けた。
電話もしてみたが、繋がることはなかった。
ゴジアオイの花言葉は、私は明日死ぬだろう。
チグリジアの花言葉は、私を助けて。
香澄はきっと、俺に気付いて欲しかったんだ。
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