メッセージ

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 俺は今、自宅療養している。とは言え、重篤な病などではない。  風邪を甘く見ていた結果、拗らせただけだ。その上、更に別の風邪も貰い、長期休暇を要する破目になってしまった。  大切な入学直後の時期を、自宅療養なんて悲しい話である。    俺と香澄は幼馴染みで、唯一無二の親友だ。とは言え、彼女とは基本学校でしか会わない。  幼い頃はよく家を訪ねていたが、六歳の頃、香澄の家庭が複雑化してから減った。父親が変わり、遠出や交友が禁じられるようになったらしい。  とは言え、十歳くらいまでは香澄の部屋へ不法侵入し、密かに遊んだりもしたが。  香澄の家は、常に季節の花が咲き乱れていた。母親の趣味だそうだ。その影響か、香澄自身も花を愛していた。  基本、自信なさげな彼女だが、花に関してはいつも生き生きと語ってくれる。それは学校でも同じで、中学の時は"花=香澄さん"とクラスメイトに認識されていたほどだ。    そう言った理由があり、香澄は花の写真をこの五日、ほぼ毎日送ってくれた。見舞い代わりも兼ねているらしい。  俺自身は花に詳しくなければ興味もないが、定期的なメッセージは素直に嬉しかった。   
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