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マリーゴールド
"昨日は返信出来なくてごめん。すっかり寝落ちちゃって。今日のお花です。"
翌日は、夕方頃にメッセージが来た。文が珍しく冒頭にある。香澄は嘘の苦手な人間だ。だからきっと、これは本当だろう。
謝罪の下、今日の花が見える。無知な俺でも見覚えのある花だ。確か名前は。
"名前は『マリーゴールド』。花言葉は『変わらぬ愛』です"
正解に一瞬笑みつつ、過ぎった違和感に喜色を崩す。違和の発生源を探してみたところ、直ぐに見つかった。
文章があまりにも淡々としている。多分ここだ。
今までの説明には、必ずどこかに感情があった。しかし、今日は見えない。おまけに、冒頭の文が代理なのか、下にもメッセージは無かった。
昨日の問いが不味かっただろうか。何か不快な思いをさせたかもしれない。
僅かでも可能性があるなら、ここは素直に謝るべきだろう。
"俺の思い過ごしなら良いんだけど 昨日のこと聞いちゃ不味かったならごめん"
その上で、自らの本音を率直に告げるのが道理か。自分の中の信念に従い、文章を練り上げた。
"俺、香澄に好きな奴が出来たら応援するよ 今までみたいには行かなくても友達でいたいと思ってるし 居たらの話だけど"
確認の足跡がつく。だが、引っ掛かる部分があるのか、また返信が止まった。
――最終的に、返って来たのは寝る前だった。
"ごめん、違うの。謝らないで。本当は"
だが、言い切られない語尾により、謎が深まるだけだった。
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